音楽プロデューサー逮捕 不起訴も続報なし

2012年5月27日誤報レポートメディア:, ジャンル:,

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【産経】 2011/12/30朝刊「大沢伸一プロデューサー逮捕」  【読売】 2011/12/29朝刊「音楽プロデューサー準強姦容疑で逮捕」 音楽プロデューサーが準強姦の疑いで逮捕されたと報じられた。しかし、報道された時点で既に釈放されていた上、100%無実を訴えていた。その後不起訴となり、警察から謝罪も受けたが、続報はなかった。

産経新聞は、2011年12月30日付朝刊の社会面で、「大沢伸一プロデューサー逮捕 準強姦の疑い」の見出しをつけ、警視庁野方署が12月14日、準強姦の疑いで音楽プロデューサーの大沢伸一氏を逮捕したと報じた。
読売新聞やスポーツ各紙も、大沢氏逮捕を報じた。(i)

大沢氏は逮捕後一貫して否認しており、報道当時すでに処分保留で釈放され、自身のブログでも「100%無実」と訴えていた。

その後、2012年3月には不起訴処分となり、5月には警察署幹部から直接謝罪を受け、嫌疑は晴れた。

しかし、産経新聞など各紙は、大沢氏が不起訴となったことや警察からの謝罪を受けたあとも、第一報の是正や、大沢氏の名誉回復のための続報をしていない。
大沢氏逮捕の第一報は、2012年5月26日現在、ニュースサイト「MSN産経ニュース」に掲載されたままになっている。(ii)

▼読売新聞2011年12月29日付朝刊社会面の第一報(左)と翌日の続報(右)


original

『大沢伸一プロデューサー逮捕 準強姦の疑い

 

部下の女性に取引先の男性とわいせつな行為をさせたとして、警視庁野方署は準強姦の疑いで、音楽プロデューサーの大沢伸一容疑者(44)=東京都目黒区=を逮捕した。

同署によると、今月14日に逮捕されたが、「逃走のおそれがない」などとして、18日に処分保留で釈放。同署は任意で捜査を続けている。調べに対し、「身に覚えはない」と容疑を否認しているという。

大沢プロデューサーは、作曲家やDJとして活動しており、歌手の安室奈美恵さんら数多くの著名アーティストの作品を手がけていた。

逮捕容疑は、今年11月、経営する会社の部下の女性に、「取引先の相手をしてほしい。そうしないと会社がつぶれる」などと言い、都内のホテルで取引先の男性とわいせつな行為をさせたとしている。

(産経新聞2011年12月30日付朝刊・19面)


evidence
  1. 大沢氏は逮捕直後から一貫して完全否認し、不起訴となった

  2. 大沢氏は警察署幹部から直接謝罪を受けた

▼大沢伸一氏が逮捕報道についてコメントを掲載したブログ

大沢伸一ブログ

 

1.大沢氏は逮捕直後から一貫して完全否認し、不起訴となった

 

大沢伸一氏は2011年12月14日の逮捕直後から一貫して「身に覚えのないこと」と完全に否認し、「100%無実」と潔白を訴えていた。(1)

大沢氏の所属事務所も、大沢氏が「完全否認」し、既に処分保留で釈放になっていること、「自身の潔白を証明するため」引き続き警察の捜査には全面的に協力することを発表していた。(2) (iii)(iv)

2012年3月には完全否認のまま不起訴処分となり、嫌疑が晴れた。(3)(4)(v)

しかし、逮捕の第一報を流した各紙はいずれも、大沢氏が不起訴になったことを報じなかった。

 

2.大沢氏は警察署幹部から直接謝罪を受けた

 

大沢氏は、2012年5月、警視庁野方警察署の署長ら幹部から直接謝罪があったことを明らかにした。(5)(vi)

しかし、逮捕の第一報を流した各紙はいずれも、大沢氏が警察幹部の謝罪を受けたと発表したことを報じなかった。

▼産経新聞のニュースサイトに掲載されたままの逮捕第一報(2012年5月26日現在)。見出しには、大沢氏が完全否認し、潔白を主張していることへの言及はなかった。同年7月20日までに削除されたことが確認された。

MSN産経

 


notes

(i) 大沢伸一氏逮捕の第一報は、読売新聞2011年12月29日朝刊(社会面、1段)「音楽プロデューサー準強姦に容疑で逮捕」。スポーツ各紙(いずれも12月30日付)はセンセーショナルな見出しを付けている。スポーツニッポン「“枕営業”強要? 今月14日逮捕も完全否認 処分保留 4日後釈放 音楽プロデューサー・大沢伸一 準強姦」、日刊スポーツ「安室プロデューサーSEX接待強要か」、サンケイスポーツ「部下の女性に枕営業させた疑いで逮捕」。

(ii) 2012年7月20日までに、ニュースサイト「MSN産経ニュース」から削除されたことが確認された。

(iii) 読売新聞の第一報では、大沢氏が否認していることや処分保留で釈放となっている事実は言及されていなかったが、翌日12月30日付朝刊の続報で、それらの事実を報じた(ただし、非常に小さな扱い)。なお、読売新聞データベースの第一報の見出しには「続報注意」との表示が付加され、ニュースサイトの記事も削除されている。

(iv) 12月30日付朝刊で第一報を報じた産経新聞やスポーツ各紙は、既に処分保留で釈放されている上に完全否認し「100%無実」と訴えていること(それゆえ無実の可能性も十分高いこと)が判明しているにもかかわらず、逮捕を実名報道したことに留意。

(v) 不起訴処分には「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」などがあり、いずれかは明らかとなっていないが、完全に否認していて不起訴となる場合は、無実であることが明白である「嫌疑なし」か、犯罪の証明ができない「嫌疑不十分」のいずれかと考えられる。不起訴理由が「嫌疑なし」であれ「嫌疑不十分」であれ、嫌疑が晴れたことに変わりはない。

(vi) エイベックス・マネジメント株式会社は、この件については熟慮の上、大沢氏のブログのとおり発表しており、現時点ではこれ以上具体的なことは発表できない、としている。野方警察署もノーコメントとしている。大沢氏の嫌疑は晴れたが、事件の捜査が完結していないため、コメントを控えている可能性がある。

source

(1) 大沢伸一氏のブログ「報道されている件について。」2011年12月29日

(2) エイベックス・マネジメント株式会社「所属アーティストの逮捕について」2011年12月29日

(3) 大沢伸一氏のブログ「不起訴裁定の報告」2012年3月8日

(4) エイベックス・マネジメント株式会社「当社所属アーティスト大沢伸一-不起訴について」2012年3月8日

(5) 大沢伸一氏のブログ「報告。」2012年5月21日

<初掲載>
2012/5/27 12:00

<加筆>
2012/7/20 21:40
※注釈(ii)を加筆しました。