森口氏の「研究」 日経は7本誤報と認定

2012年11月6日訂正報道一覧メディア:ジャンル:テーマ:

【日経】 ①2009/7/9朝刊34面「『がん幹細胞』からiPS細胞 米大など成功 新治療法の開発も」 ②2009/9/7朝刊13面「肝がん細胞、正常に 米ハーバード大 遺伝子など用い」 ③2010/2/24朝刊42面「iPS細胞 化学物質だけで作製 米大、発がんリスク減も」 【日経産業】  ④2009/11/25朝刊12面「iPS細胞 がん化防止に道ー大塚製薬工場、ハーバード大など」 ⑤2010/4/1朝刊12面「ハーバード大研究員森口尚史氏――iPS細胞でがん治療」 ⑥2010/6/2朝刊11面「ハーバード大研究員ら、C型肝炎治療 副作用少なく、iPS細胞活用」 ⑦2012/8/2朝刊11面「がん患者の卵巣 新凍結法で治療後妊娠――米ハーバード大など」
(訂正事項) 森口尚史氏の研究成果

日本経済新聞は、原報道①~⑦(うち④~⑦は日経産業新聞に掲載)で森口尚史氏の研究成果を報じたのはいずれも誤りだったとする検証記事と科学技術部長名でのおわび記事を掲載した。

検証記事では、過去に日本経済新聞と日経産業新聞に掲載した森口氏の研究成果に関する12本の記事を調査した結果、7本に誤りがあったとし、誤報と判定した根拠を説明した。

なお、日本経済新聞は、森口氏がiPSの初の臨床応用を行ったとする誤報はしていなかったが、読売新聞などの誤報が発覚したことを受け、独自に過去の記事を検証していた。

『科学報道、裏付け取材に注力』

日本経済新聞社は過去に掲載した森口尚史氏の研究関連記事12本を調べ、一部に誤りがあったと判断しました。読者の皆様におわびいたします。

2004年までの記事は医療機関の患者データを分析して有効な治療法などを導き出すといった研究内容です。こうした研究は欧米でみられ、本社記者らは東京大学客員助教授だった森口氏を取材しました。同氏は関連論文に精通し、専門家と認識しました。

誤りがあったと判断した記事は複数の記者が執筆しました。肩書の誤りは森口氏に「実験をしている米ハーバード大学の肩書で紹介してほしい」といわれたのが発端でした。同氏は名刺に東大とハーバード大の肩書を併記。科学誌への投稿論文にもハーバード大所属と記していました。記者らは実験室も見たいと考えましたが米国で実験しているとの説明に断念しました。研究内容を別の専門家に尋ねたこともありましたが、問題点は見つかりませんでした。

森口氏は成果を積極的に売り込むため不信感を抱いた記者もいましたが、以前からの取材先でもあり信じて執筆しました。個々の記者の情報を十分に共有できず、虚偽を見抜けませんでした。

日本経済新聞社は、研究者の肩書や発表論文などの確認、共同研究者や別の専門家への照会など事実の裏付け取材と、取材情報の共有に注力し、再発防止に努めます。(科学技術部長 鹿児島昌樹)

 

日本経済新聞2012年11月6日付朝刊3面

■関連:【訂正報道一覧】読売、森口氏の「研究」報道5本を誤報と認定(読売新聞2012/10/26「おわび」)

(2012/11/6掲載、11/7原報道見出し等を加筆修正)