自衛権発動「新3要件」案 文言不正確で訂正

2014年6月15日訂正報道一覧メディア:ジャンル:テーマ:

毎日新聞2014年6月15日付朝刊1面

毎日新聞2014年6月15日付朝刊1面

【毎日】 2014/6/14朝刊1面「集団的自衛権 新3要件拡大余地 『権利脅かされるおそれ』で武力行使」

(訂正事項) 集団的自衛権の行使要件の案文


毎日新聞は6月14日付朝刊1面で、13日に行われた集団的自衛権の行使容認を巡る与党協議会で、自民党の高村正彦副総裁が自衛権発動に関する新3要件を提示したと報じた。その際、見出しなどで要件の一部を「国民の権利が脅かされるおそれ」と記したのは「国民の権利が覆されるおそれ」の誤りだったとして、15日付朝刊で訂正記事を掲載した。

記事の見出しと本文の冒頭(リード)で「国民の権利が覆されるおそれ」と書かれていたが、新たな「武力行使の3要件」の案をまとめた欄には、第1要件「①我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること」と記載されていた。本文でも「1972年の政府見解の『国民の権利が根底から覆される急迫、不正の事態』を参考としつつ、『急迫、不正の事態』を『おそれ』に変更」したものと説明しており、見出しやリードの説明と食い違っていた。

自民党と公明党は5月20日以降、「安全保障法制整備に関する与党協議会」を開催して、自衛権の行使要件の見直し等について協議を重ねている。6月13日の協議で自民党側が示した自衛権発動に関する新3要件の案文は一般に公表されていないが、主要メディアは、従来の自衛権行使3要件に関する政府見解のうち、第1要件の「わが国に対する急迫不正の侵害があること」を大きく見直す内容だと伝えている。

また、6月18日付西日本新聞などの報道によると、政府が17日の与党協議会で示した閣議決定原案全文には、高村副総裁の「たたき台」に基づいて、「わが国に対する武力攻撃が発生していなくとも、他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される恐れがある場合があり得る。その場合に、これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がなく、わが国が『自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置』として武力を行使することは、従来の政府見解と同様に、自衛のための必要最小限度の範囲内の実力の行使として許容されると考えるべきであると判断するに至った」と記載されている。

毎日新聞2014年6月14日付朝刊1面

毎日新聞2014年6月14日付朝刊1面

憲法と自衛権 (防衛省)

(2)自衛権発動の要件
憲法第9条の下において認められる自衛権の発動としての武力の行使については、政府は、従来から、
①わが国に対する急迫不正の侵害があること
②この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
という三要件に該当する場合に限られると解しています。

集団的自衛権、閣議決定原案の全文 (西日本新聞 2014/6/18)

3・憲法第9条の下で許容される自衛の措置(検討中)

○憲法第9条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文や第13条の趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条が、わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは解されず、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容。これが、従来から政府が一貫して表明してきた見解の基本的な論理。

○これまで政府は、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるものであるとして、「武力の行使」が許容されるのは、わが国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。しかし、わが国を取り巻く国際情勢を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的・規模・態様等によっては、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。

(以下は自民党の高村正彦副総裁の「たたき台」に基づく)

○わが国に対する武力攻撃が発生していなくとも、他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される恐れがある場合があり得る。その場合に、これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がなく、わが国が「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」として武力を行使することは、従来の政府見解と同様に、自衛のための必要最小限度の範囲内の実力の行使として許容されると考えるべきであると判断するに至った。

○国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解。上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる。

○憲法上「武力の行使」が許容されるとしても、民主的統制の確保が求められる。上記の「武力の行使」のために自衛隊に出動を命ずるに際し、現行法令上の防衛出動に関する手続きと同様、原則として事前に国会の承認を求めることを法案に明記。