「誤報の危機管理」に失敗した朝日 挽回へのビジョンを

2014年8月28日

▼過去の慰安婦報道に向けた批判を食い止めようと、朝日新聞が大型の検証記事を掲載したが、批判が鳴り止まない。「誤報の危機管理」に失敗したのはなぜか。報道機関が信頼を回復するための道筋を考えてみた。(楊井 人文)

メディアの最大の危機は「誤報」です。企業や職種によって、危機のあり方はさまざまですが、新聞社という企業にとって致命的な危機が訪れるのは、「誤報」をした時、つまり記事の内容が間違っていた場合です。危機管理の最大の要諦は何かと聞かれたら、「逃げたらあかん」ということです。何かトラブルが起きた時には、まず、事実を把握することです。また、そのトラブルによって誰かに迷惑をかけたり、被害を与えていたらきちんと謝罪し、原因は何なのかを究明して明らかにすることが必要です。また、再発防止のためにどんな手を打つのかということも考えなくてはなりません。…
鳥越俊太郎「危機管理のあり方」2005年7月19日講演より)

朝日新聞の慰安婦報道をめぐる波紋が止まらない。同紙は8月5日付朝刊で、慰安婦問題の報道検証記事を掲載し、済州島から朝鮮人女性を強制連行したという吉田清治氏(故人)の証言が虚偽だったと認定。1980年代から90年代にかけて繰り返し報じた吉田証言に関する記事の取り消しを発表した。女子挺身隊と慰安婦と混同した報道も「誤用」と認め、翌日も検証記事への識者のコメントなどを掲載した。

当初は、四半世紀ほど前の報道について2日連続、見開き2面に検証記事を掲載したことへの意外感もあってか、同紙の姿勢を評価する声も聞かれた。しかし、検証記事の中身が詳しく知られるにつれ、批判が席巻しはじめた。同紙へ向けられた暴風雨がやがておさまったとしても、このまま手を打たなければ、このさき何年も大なり小なりの雨が降り続くのではないか。その湿気で報道機関としての体力が消耗していくのではないか。そのことを私は強く憂慮する。「誤報の危機管理」に失敗したことを認め、読者の信頼回復に向けた更なるアクションが必要だと思う。・・・(続きはこちら

朝日新聞2014年8月5日付朝刊16面(一部抜粋)

朝日新聞2014年8月5日付朝刊16面(一部抜粋)

(2014年8月23日Yahoo!ニュース掲載)

※この記事は執筆者個人の見解であり、日本報道検証機構その他団体を代表するものではありません。

楊井 人文(やない ひとふみ)
日本報道検証機構代表理事。産経新聞記者を経て、弁護士。