「北朝鮮、生存者リスト提示」 日朝当局、全面否定

2014年7月10日注意報一覧メディア:ジャンル:, ,

▼北朝鮮側が日朝政府間局長級協議で日本人生存者リストを提示したと日経新聞が1面トップで報じたが、日朝政府当局者が全面的に否定している。

【日経】 2014/7/3朝刊1面トップ「北朝鮮、生存者リスト提示 拉致被害者ら『2桁』政府、情報の分析急ぐ」、20147/3夕刊13面「拉致『結果信じて待つ』一部制裁解除 家族ら見守る」、2014/7/4朝刊3面「拉致調査 北朝鮮、異例の体制 正恩氏直轄、生存者リスト提示 孤立回避狙う」、2014/7/10朝刊1面「拉致被害者複数 生存者リストは約30人 政府 北朝鮮情報を照合」、2014/7/11朝刊4面「生存者リストに約30人 北朝鮮の調査範囲焦点に 政府、対象拡大を要求へ」

《注意報1》2014/7/5 11:45

《注意報2》2014/7/10 19:00

《追記》2014/7/11 07:40


《注意報1》2014/7/5 11:45

日本経済新聞は7月3日付朝刊1面トップで、北朝鮮が1日の日朝局長級協議で北朝鮮国内の日本人生存者リストを提示したと報じた。これに対し、古屋圭司拉致担当相と北朝鮮の宋日昊担当大使が全面否定している。

日本経済新聞は、複数の日本政府関係者の情報として、北朝鮮が提示したリストに掲載されているのは2桁の人数で、日本政府はリストを持ち帰り、人物の確認作業に着手したと報じている。ただ、日経新聞が報じたのは「北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人のリスト」にとどまり、その中に拉致被害者も含まれるかどうかは明記していない。3日付夕刊、4日付朝刊の続報でも、北朝鮮側が生存者リストを提示したと繰り返し報じているが、それ以上の新しい情報は出ていない。

古屋拉致担当相は3日の会見で、北朝鮮側が生存者リストを提示したとの報道について「全く事実無根」と全面否定。菅義偉官房長官も同日会見で「全く報告を受けていないし、あり得ない」と述べた。さらに、宋日昊担当大使も5日の会見で、日経新聞で報道された事実関係について「全くそうした事実はなく、議論したこともありません」と発言。FNNのニュース映像で確認した。

5日現在、産経新聞が外務省幹部の「誤報だ」とのコメントを伝えるなど、主要各紙は日経新聞の報道に否定的な情報を伝えており、後追い報道は出ていない。

日朝両政府は5月30日、スウェーデン・ストックホルムで開催された協議で、北朝鮮が拉致被害者を含む全日本人の包括的かつ全面的な調査を実施し、日本が独自に実施している制裁措置の解除することなどで合意。北朝鮮が7月4日、北朝鮮国内の全機関を調査できる特別権限を付与された特別調査委員会の設置を発表するとともに、日本側も独自制裁の一部解除を発表した。

日本経済新聞2014年7月3日付朝刊1面トップ

日本経済新聞2014年7月3日付朝刊1面トップ

 日本と北朝鮮が1日に北京で開いた外務省局長級協議で、北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人のリストを北朝鮮側が提示していたことが明らかになった。リストに掲載されているのは2桁の人数だという。日本政府はリストに掲載されている人物が拉致被害者や拉致の疑いがある特定失踪者らと同一かどうかの確認作業に着手した。
北朝鮮は拉致被害者を含む日本人の安否確認の再調査を約束しており、同リストをもとに調査を進める意図があるとみられる。リストの確認が進めば、拉致問題の進展につながる可能性が高い。
複数の日本政府関係者によると、朝鮮語で人名や経歴などが掲載されている。日本側は持ち帰り、政府が保有する拉致被害者や特定失踪者に関する資料との照合作業を始めた。政府は北朝鮮側が拉致問題の進展に前向きな姿勢を示しているとの見方を強めている。(以下、略)

■古屋圭司拉致担当大臣記者会見(2014年7月3日) (※日本報道検証機構が独自に会見の発言内容を入手。NHK報道も参照)

一部新聞に何か北朝鮮からそういうリストが出たと、全く事実無根ですね。実際私どもも、戻った人間にも確認しておりますし、まったくそういう話はありません。

菅義偉官房長官記者会見(2014年7月3日午前) (首相官邸)

Q.一部報道で、今回の日朝交渉の中で、生存者リストが提示されたのではないかという内容の報道がありますが、これについて事実関係をお願いします。
A.全く報告受けておりませんし、そこはあり得ないというふうに考えています。

菅義偉官房長官記者会見(2014年7月4日午前) (首相官邸)

Q.先日の政府間協議で、生存者リストが提示されたという報道がありましたけれども、これは長官、否定されてましたけれども、リストという形ではなくても、例えば、口頭で、何かしらの形式で生存者に関する情報が伝えられたということはあるんでしょうか。
A.現段階においては、全くそうしたことは報告を受けてません。
Q.ということは、今回の制裁の一部解除というのは、特別調査委員会の組織なのか、責任者の顔ぶれをもって、だけをもって判断するんですか。
A.それ、きのうも申し上げましたけども、今回のこの調査委員会というのはですね、全ての組織を、この調査するに足る強力な権限を持った組織であると、そういうふうに政府としては判断をしですね、今回、この制裁の一部を解除したと、そういうことです。

北朝鮮、拉致被害者らを調査する特別調査委員会設置を正式に発表 (FNN NEWS 2014/7/5 01:04)

FNN 2014年7月5日配信ニュース映像より

FNN 2014年7月5日配信ニュース映像より(生存者リストについての質問に答えるシーン)

日朝政府間協議〔概要〕 (外務省 2014/5/30)
特別調査委員会に関する北朝鮮側からの説明概要〔PDF〕 (首相官邸 2014/7/4)


《注意報2》2014/7/10 19:00

日本経済新聞は7月10日付朝刊1面トップで「拉致被害者複数 生存者リストは約30人 政府 北朝鮮情報を照合」と見出しをつけ、北朝鮮が提示した日本人生存者リストに政府が認定した拉致被害者を含め約30人が記載されていたと報じた。これに対し菅義偉官房長官は同日会見で、「全くの誤報」と強く否定。政府として日本経済新聞社に訂正を求める抗議文書を出したことを明らかにした。

生存者リストに複数の拉致被害者 北朝鮮、約30人提示 政府、情報を照合 (日本経済新聞 2014/7/10 18:00)

北朝鮮が日本側に提示した北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人の生存者リストに、政府が認定している複数の拉致被害者が含まれていることが9日、明らかになった。北朝鮮側は同リストを今年初めに作成したと説明。今後の拉致被害者らの再調査は同リスト以外の人物も対象になる見通しだ。政府はリストに掲載されている約30人の安否の詳しい説明などを北朝鮮側に強く求めていく方針だ。(以下、略)

日本経済新聞2014年7月10日付朝刊1面トップ

日本経済新聞2014年7月10日付朝刊1面トップ

同紙は3日付朝刊で、北朝鮮が1日の日朝局長級協議で北朝鮮国内の日本人生存者リストを提示したと報道。その際、リストに載っていたのは2桁の人数で、日本政府は人物の確認作業に着手したとしていたが、古屋拉致担当相は「全くの事実無根」と否定していた。しかし、同紙は10日付朝刊で、このとき北朝鮮側から提示されたリストに約30人の日本人の名前、生年月日、職業、家族構成などが記載。政府が把握する拉致被害者や拉致の疑いがある行方不明者なども載っており、日本政府の照合作業の結果、約3分の2が日本側リストと一致したと詳しく続報していた。

菅官房長官は10日午前の会見で、1日の日朝局長級協議で休憩時間も含め、生存者リストを提示された事実はなく、「全くの誤報」と指摘。同日午後、日本経済新聞社の関係者を外務省に呼んで抗議文書を手渡したことを明らかにした。

【追記】(2014/7/11 07:40)
日本経済新聞は11日付朝刊で、政府が「事実と全く異なる」として抗議し、訂正を求めたことを伝えた上で、「取材に基づき、適切に報じています」との日本経済新聞社のコメントを掲載。「生存者リストに約30人 北朝鮮の調査範囲焦点に 政府、対象拡大を要求へ」との続報を掲載した上で、リストは「日朝協議で5月末に合意した特別調査委員会による日本人の再調査を直接念頭においた名簿ではないようだ」とも伝えている。なお、10日付朝刊ではリストと政府の照合作業を終えたと報じていたが、11日付朝刊では政府がリストの残り約3分の1の照合作業を続けていると報じている。

菅義偉官房長官記者会見(7月10日午前) (首相官邸)

 Q.拉致問題をめぐる日朝協議についてお伺いします。今朝一部報道で、日本人の生存者リストについて報道がありまして、約30人の日本人の名前が書かれてると。1日の日朝協議の際に提示されたと。日本側もこれを照合済みであるという報道がありますが、それぞれの事実関係について教えてください。
A.ご指摘の報道は承知をいたしておりますが、会議中、また会議の休憩時間等においても、そのような事実は全くなく、誤報だというふうに、全くの誤報であります。いずれにしろ、我が国としては全ての拉致被害者の安全確保および即時帰国、拉致に関する真相究明および拉致実行犯の引き渡しを求めていくとの基本的な姿勢には全く変わりありません。現在政府として抗議をすべく準備中であります。
Q.誤報ということなんですが、今、こちらが言った生存者リストとか、30人とか、1日の協議でと、こういうそれぞれの事実全てが誤報ということですか。
A.全て、そうした会合あるいはその休憩時間等でということはなかったということでありますから、明らかに誤報です。
Q.すいません、関連しまして。1日以外にそういうのは提示されてるという可能性はないんですか。
A.全くありません。
Q.もう一度。長官ご自身が知らないだけで、実際にあるとか、そういうたぐいのことは…
A.そこは全て、出席者というのは限定されていますから、全くなかったということです。
Q.存在しないという…
A.ええ。ですから、誤報という発言をあえてさせていただきました。
Q.確認なんですが、今、政府として抗議を検討、準備中というのは、報道した会社に対してということ?
A.もちろんそうです。
…(中略)…
Q.さっきの件なんですけど、誤報というのは極めて強い表現だと思うんですが、リストという部分について誤りだという…
A.全て誤報です。
Q.つまり…
A.日朝間の会合の中でそうしたことが提示されるとか、あるいは休憩時間にそういうことがあったということはまるっきりないことでありますので、あえて誤報ということを発言させていただきました。
Q.北朝鮮側からですね、これまでの全ての日朝協議において安否情報というのはなかったという、そういうことですか。
A.当然そうです。これから調査が始まったばっかしでありますから、調査の過程においてですね、さまざまなことが明らかになるということに思います。

菅義偉官房長官記者会見(7月10日午後) (首相官邸)

Q.長官、午前中の会見で出た話なんですけれども、北朝鮮の拉致問題をめぐる一部報道をめぐって抗議するというお話がございましたけれども、その後、抗議はされたんでしょうか。
A.政府はですね、本日の午後に日本経済新聞社に対し、同社の同日付朝刊1面の記事が事実と全く異なるものであるとして、外務省、内閣官房拉致対策本部事務局、警察庁の連名にして抗議し、速やかに訂正を求めました。報道内容が事実と全く異なる旨、申し入れると同時にですね、社会的に影響力の大きい報道機関が事実に全く反する記事を重ねて掲載する、前にもありました。このことはですね、拉致被害者、ご家族のお気持ちに与える影響を含め、重大な社会的影響を及ぼし、そういう中で遺憾の意を表明をしてですね、日本経済新聞社の関係者を外務省に呼び、抗議の文書を手渡した、こういうふうに報告を受けています。

(*) 11日付朝刊の情報を追記しました。(2014/7/11 07:40)