G7首脳「中国名指し非難」 実際は全当事者向け声明

2014年6月5日注意報一覧メディア:ジャンル:,

▼産経新聞がG7首脳宣言の発表前に、初めて中国を名指しで海洋進出の動きを批判すると予告報道。しかし3日後に発表された宣言に中国を名指しして非難する文言は含まれていなかった。

【産経】 2014/6/2朝刊1面「G7 中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す」

《注意報1》2014/6/5 19:00


《注意報1》2014/6/5 19:00

産経新聞は6月2日付朝刊1面で「G7 中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す」と見出しをつけ、ベルギー・ブリュッセルで4日から開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で採択される首脳宣言に、海洋進出を目指す中国を名指しして非難し、自制を迫る文言が盛り込まれる方向で調整されていると報じた。記事は「G7にロシアを加えた1998年以降の主要国(G8)時代を含めて首脳宣言で中国の国名を明示し、海洋進出の動きを批判するのは初めて」などと強調し、G7首脳宣言に中国を名指しで非難する文言が入ることがほぼ確実であるかのような印象を与えるものだった。しかし、4日(日本時間5日)発表されたG7首脳宣言には、中国を名指しで非難する文言は盛り込まれていなかった。

G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す (MSN産経ニュース 2014/6/2 07:10)

産経新聞2014年6月2日付朝刊1面

産経新聞2014年6月2日付朝刊1面

4日発表されたG7の外交政策に関する首脳宣言では、シリアのアサド政権の残虐性を名指しで非難する文言や、核及び弾道ミサイル開発を継続している北朝鮮を名指しで非難する文言などが盛り込まれた。しかし、産経新聞が報じたような、海洋進出を進める中国を名指しで非難する文言は見当たらなかった。宣言は19項目あり、16項目に「海洋航行及び飛行」という一節が設けられたが、「東シナ海及び南シナ海での緊張」に対する深い懸念、「いかなる者によるいかなる一方的な試み」への反対、全ての当事者に国際法の順守を呼びかける文言が盛り込まれているにとどまっていた。

産経新聞の2日付報道に続いて、読売新聞や日本経済新聞も3日付朝刊で「G7 中国の挑発けん制」、「G7、中国けん制へ」などと報道。しかし、両紙とも、調整されているG7首脳宣言は中国の名指しを避けた表現になるとも伝えており、中国の名指し非難を初めて明記すると予告していたのは産経新聞だけだった。

2014 G7ブリュッセル・サミット 首脳コミュニケ-外交政策(仮訳)英文版) (外務省)

(以下、一部抜粋)

  • シリア

7. 我々は,16万人以上を殺害し,930万人の人々を人道支援を必要とする状況に置いた紛争の要因となるアサド政権の残虐性を強く非難する。我々は,6月3日の偽りの大統領選挙を非難する。シリアにおいて,アサドに未来はない。我々は,統一された包摂的かつ民主的なシリアというビジョンに基づき,完全な行政権を執行し,相互の同意により合意される移行的な統治主体を求めるジュネーブ・コミュニケを改めて支持する。我々は,シリア政権による国際人道法及び人権の侵害並びに無差別な砲撃と空爆を強く非難する。過激派グループも,重大な人権侵害を犯している証拠がある。このような侵害に責任を有する人々は,責任を追及されなければならない。我々は,国際法を遵守するというシリア国民連合(SOC)及び自由シリア軍の約束を歓迎する。我々は,シリアで現在行われている深刻な犯罪行為に関し,国際刑事裁判所への付託を承認し,説明責任を求める国連安保理決議案に対するロシアと中国の拒否権行使の決定に遺憾の意を表明する。

  • 北朝鮮

13. 我々は,北朝鮮の核及び弾道ミサイル開発の継続を強く非難する。我々は,北朝鮮に対し,全ての核兵器並びに既存の核及び弾道ミサイル計画を放棄し,また,関連する国連安保理決議の下での義務及び2005年9月の六者会合共同声明の下での約束を完全に遵守するよう要請する。我々は,国際社会に対し,国連制裁の完全な履行を求める。我々は,国連調査委員会の報告書に記載された北朝鮮における現在進行中の組織的,広範かつ深刻な人権侵害について重ねて深刻な懸念を表明し,北朝鮮に対し,拉致問題を含め,これらの侵害に対処するため速やかな措置をとるとともに,関連する全ての国連機関に完全に協力することを要請する。我々は,北朝鮮の深刻な人権侵害に対する説明責任の確保を促進するため引き続き協働する。

  • 海洋航行及び飛行

16. 我々は,普遍的に認められた国際法の原則に基づく海洋秩序を維持することの重要性を再確認する。我々は,国際法及び国際水域における管轄権に関して国際的に認められた原則と整合する形で,海賊,その他の海上犯罪に立ち向かうための国際的な協力に引き続き関与する。我々は,東シナ海及び南シナ海での緊張を深く懸念している。我々は,威嚇,強制又は力により領土又は海洋に関する権利を主張するためのいかなる者によるいかなる一方的な試みにも反対する。我々は,全ての当事者に対し,領土又は海洋に関する権利を国際法に従って明確にし,また主張することを求める。我々は,法的な紛争解決メカニズムを通じたものを含め,国際法に従って,紛争の平和的解決を追求する紛争当事者の権利を支持する。我々はまた,信頼醸成措置を支持する。我々は,国際法並びに国際民間航空機関(ICAO)の基準及び慣行に基づく,航行及び上空飛行の自由と併せ民間航空交通の効果的な管理の重要性についても強調する。