司法試験「受験回数制限撤廃」 実際は「5回まで」

2014年5月29日注意報一覧メディア:, ジャンル:

▼「司法試験の受験回数制限を事実上撤廃する改正司法試験法」が国会で成立したと共同通信が配信したが、実際は5年で5回という事実上の回数制限は残るため、改正法について誤った印象を与えるおそれがある。

【産経】 2014/5/27「司法試験受験回数を撤廃 改正司法試験法成立」【共同】 2014/5/27「司法試験受験回数を撤廃 改正法成立、15年から」

《注意報1》2014/5/29 19:15


《注意報1》2014/5/29 19:15

共同通信は5月27日、「司法試験受験回数を撤廃」と見出しをつけ、「司法試験の受験回数制限を事実上撤廃する改正司法試験法」が国会で成立したと報じた。しかし、改正法のもとでも、5年の受験期間制限は存置され、その期間中に合格しなければ受験資格を失うため、「5回まで」という回数制限が事実上残る。また、受験期間経過後に受験資格を再び取得することで何度でも受験することは改正前の現行法でも可能だが、共同通信の報道は、改正でそれが可能になったかのような事実と異なる印象を与えるおそれもある。

司法試験受験回数制限を撤廃 改正法成立、15年から (共同通信 2014/5/28)

共同通信2014年5月28日

共同通信2014年5月28日

司法試験の受験回数制限を撤廃 改正司法試験法が成立 (MSN産経ニュース 2014/5/28 13:27)

現行の司法試験法では、法科大学院修了もしくは予備試験合格により司法試験の受験資格を得てから5年以内に3回まで受験することができ、3回不合格の場合は受験資格を失うしくみ。改正法(2014年10月施行)では、「5年以内に3回まで」という回数制限を廃止し、「5年以内に何度でも」受験できるよう改定された。ただ、「5年以内」という期間制限は残り、同一の受験資格での受験回数は「5回まで」に事実上制限されるため、回数制限が完全になくなったわけではない。共同通信の報道は見出しで「受験回数を撤廃」と報じ、記事の冒頭でも「司法試験の受験回数制限を事実上撤廃する改正司法試験法」と書かれているため、改正により何度でも受験できる制度に変わったかのような事実と異なる印象を与えるおそれがある

司法試験法の一部を改正する法律案新旧対照条文現行法条文)(法務省)

司法試験法の一部を改正する法律案(要綱)

司法試験法の一部を改正する法律案(要綱)

平成26年度司法試験に関するQ&A(受験資格等) (法務省)

法務省

司法試験に関するQ&A(法務省ホームページ)より

共同通信の記事は、改正法の中身について「改正法では、法科大学院修了か予備試験合格で、年1回の試験を5年間受けることができる。5回不合格になっても、あらためて法科大学院を修了するか予備試験に合格すれば受験資格を得る」と説明。前半の記述は正確だが、後半の記述は受験資格の再取得制度が改正法によって実現したかのような印象を与える。実際は、現行法でも、3回の不合格で受験資格を失っても法科大学院終了もしくは予備試験合格により受験資格を再取得することで、4回以上受験することが可能。ただ、現行法では、不合格によって受験資格を失ってから2年間は、再取得した受験資格に基づく再受験ができない制約があったが、この制約は改正によって撤廃される。

共同通信以外の主要メディアは、改正司法試験法の成立について、「受験5回まで可能に」(朝日新聞)、「司法試験5回まで=受験回数緩和」(時事通信)、「現在『5年間で3回』の受験回数を『5年間で5回』に緩和する改正司法試験法」(NHK)などと、事実上尾の回数制限を明記して報じていた。