保釈金一部没取「母親の生活考慮」は不正確

2014年5月27日注意報一覧メディア:, , , , ジャンル:, , テーマ:

▼PC遠隔操作事件で、保釈取消しとなった片山被告の保釈金を裁判所が一部没取にとどめる決定をしたことについて、保釈金を工面した母親の生活面への配慮が主な理由であるかのような一部報道があった。実際の決定理由には、母親の生活面は主な理由として挙げられていなかった。

【朝日】 2014/5/27夕刊「片山被告の保釈金600万円を没収 PC遠隔操作」【毎日】 2014/5/27夕刊「PC遠隔操作 保釈金没収は600万円 被告母に配慮、減額か−東京地裁」【産経】 2014/5/27「片山被告の保釈保証金没収は600万円 『母親の生活安定、考慮された』」【共同】 2014/5/27「片山被告の保証金600万円没収 保釈取り消しで」【NHK】 2014/5/27「遠隔操作事件 保釈金全額は没収せず」

《注意報1》2014/5/27 23:10


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《注意報1》2014/5/27 23:10

いわゆるパソコン遠隔操作事件で、片山祐輔被告が保釈取消しで再収監されたことを受け、主要メディアは27日、東京地裁が片山被告側が納付した保釈保証金1000万円のうち600万円を没取する決定をしたと一斉に報じた。その際、NHKなど一部メディアが、裁判所が保釈金全額を没取しなかった主な理由は「母親が生活資金から保釈金を準備したこと」や「母親の生活の安定」であるかのように報道。しかし、裁判所が主に挙げた理由は「再収監に至った経緯」や「公判への影響」で、「母親の生活面」ではなかった。

遠隔操作事件 保釈金全額は没収せず (NHK WEB NEWS 2014/5/27)

NHK NEWS WEB 2014年5月27日掲載・放送

NHK NEWS WEB 2014年5月27日掲載・放送

片山被告の保釈保証金没収は600万円 「母親の生活安定、考慮された」 (MSN産経ニュース 2014/5/27)

MSN産経ニース2014年5月27日掲載

MSN産経ニース2014年5月27日掲載

片山被告は5月20日、保釈取消しにより再収監された。22日、弁護側は東京地裁に保釈保証金に関する上申書を提出。裁判所は23日付で、保釈金1000万円のうち600万円を没取する決定をした。

NHKニュースは27日朝、裁判所の決定を報じた際、「全額を没収しなかったことについて弁護団は、母親が自分の生活資金から保釈金を準備したことなどが考慮されたのではないかとしています」と報道。産経新聞電子版も、裁判所の決定について佐藤弁護士が「被告が立ち直るのに、母親の生活の安定が不可欠なことなどが考慮されたのではないか」と話していると伝えた。

佐藤弁護士によると、当初は裁判所の決定に理由が示されていないと思い込み、一部メディアの取材に決定理由を聞かれた際、決定書を確認しないまま推測で回答したという。しかし、26日に裁判所から保釈金没取決定書を取り寄せたところ、決定理由が明記されていたことが判明。27日の一部報道を受け、報道各社に対し、決定書を確認する前にしたコメントは不正確だったので訂正すると通知した。佐藤弁護士は日本報道検証機構の取材に対し、「保釈金全額没取を免れた主な理由が『母親の生活』であるかのような一部報道は誤解。『母親の生活』は主な理由となり得ず、自分から真犯人だと言って収容に応じたことが主な理由だった」と説明している。

東京地裁の保釈保証金決定書は、片山被告が真犯人メールを送信したことや19日午前から連絡がとれなくなったことから、保釈取消事由(逃亡や罪証隠滅のおそれ、住居制限違反)があると指摘。他方、保釈金の没取を一部にとどめた理由については、片山被告が19日夜に主任弁護人に所在を明らかにし、20日朝には弁護人を通じて検察官に自分が真犯人であり、収容に応じる旨を伝えた上で収容されたこと、22日の公判は支障なく行われたことなど、「収容されるに至った経緯」や「公判期日への影響の程度」を具体的に指摘した。考慮事情の一つとして「保釈保証金の出損者や金額等」にも触れているものの、「母親の生活面への配慮」への具体的な言及はなかった。したがって、「母親の生活面」は一部没取にとどめた主な理由ではなかったと考えられる。

また、一部報道は、弁護団が裁判所に提出した上申書で、あたかも「母親の生活面」だけを強調したかのように報じていたが、実際はそうではなかった。上申書で第一に強調されていたのは、片山被告が連絡がとれなくなってから弁護人に所在を明らかにするまで半日にとどまった点や、真犯人であることを明かし、逃げ隠れをすることをやめて再収監に応じた点だった。その上で、保釈金の没取は、片山被告の社会復帰後の更生に不可欠な母親を経済面で著しく困窮させるとも訴えていた。