「都は東電の主要株主」は誤り 持株比率は1%強

2014年1月20日注意報一覧メディア:, , ジャンル:テーマ:,

▼東京都知事選に関する報道で一部メディアが「東京都は東京電力の主要株主」と伝えているが、東京都の持株比率は1%強で「主要株主」には当てはまらない。筆頭株主は国などが出資した原子力損害賠償支援機構となっている。(追記あり)

【読売】 2014/1/18朝刊3面「社説:東京都知事選 五輪返上論はどこまで本気か」【朝日】 2013/12/29朝刊34面「宇都宮氏が立候補表明 『安倍政権の暴走止める』」【産経】 2014/1/16朝刊1面「政府、東電再建計画を認定 日本企業の競争力回復 試金石」、2014/1/16 MSN産経ニュース「東京都知事選に細川氏出馬 知事ら『原発論議深まる』 新潟」、2014/1/17朝刊30面「脱原発だけでいいのか… 単一争点、都民に違和感!?」【東京】 2013/12/22朝刊27面「今度こそ『脱原発』東京都知事を 『国の暴走止める』市民再結集へ」、2014/1/15朝刊2面「原発政策 重要な論点 児玉三重大教授に聞く」

《注意報1》2014/1/18 14:00

《追記》2014/1/20 21:00


【都知事選2014】特集ページ

《注意報1》 2014/1/18 14:00

2月9日投開票の東京都知事選に関連して、主要紙の一部が「東京都は東京電力の主要株主」と誤って伝えている。都が「東京電力の筆頭株主」という明らかな誤報もみられる。東京都は現在、東電の上位4番目の大株主であるものの、持株比率は1%強にとどまり、一般的に持株比率10%以上を意味する「主要株主」には当てはまらない。東電の筆頭株主は国や電力会社が設立した「原子力損害賠償支援機構」で過半数を占めている。こうした株主構成を説明せずに「都は東電の主要株主」などと伝えることで、都が東電に株主として影響力を行使できる地位について誤った印象を与える可能性もある。

東京新聞は昨年12月22日付朝刊に掲載した「『脱原発』都知事を」と見出しをつけた記事で、都の持株比率などには一切触れないまま「都は東京電力の主要株主で、原発問題への影響力も大きい」と記載。今年1月15日付朝刊でも、三重大の児玉克哉教授のインタビュー記事で「東京都は東京電力の主要株主であり、日本最大の電力の消費地だ」という発言をそのまま掲載していた。

今度こそ 「脱原発」都知事を (東京新聞WEB 2013/12/22)

東京新聞2013年12月22日付朝刊27面

東京新聞2013年12月22日付朝刊27面

朝日新聞も昨年12月29日付朝刊で、宇都宮健児氏が立候補の意向を表明したと報じた際、「都が東京電力の主要株主であることから、『株主総会で柏崎刈羽原発の廃炉を提案する』と脱原発を強調した」と報道。ただ、今年1月15日付社説では「都は東京電力の大株主だ。知事は、東電の経営に物申すこともできる」とあり、「主要株主」との表現を修正している。

他方、産経新聞は1月16日付朝刊で、東電の新総合特別事業計画について報じた際、「東電の主要株主で、電力の大消費地でもある東京都の知事選に『原発ゼロ』を唱える細川護煕元首相が出馬を表明。『脱原発』が大きな争点としてクローズアップされるのは確実だ」と報道。電子版記事には「都は東京電力の筆頭株主」との明らかな間違いがあり、原発・エネルギー政策を都知事選の争点とすることを疑問視する観点で書いた記事の中でも「都は東京電力の主要株主」と言及していた。

読売新聞も1月18日付社説で、「都は東京電力の主要株主ではあるが、東電株の50・1%は原発再稼働を目指す政府の原子力損害賠償支援機構が保有する。細川氏が再稼働を阻止できるかのように主張するなら無責任だ」と述べていた。

「脱原発」だけでいいのか 単一争点、都民に違和感 (MSN産経ニュース 2014/1/17 16:17)

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産経新聞2014年1月17日付朝刊30面

東京都知事選に細川氏出馬 知事ら「原発論議深まる」 新潟 (MSN産経ニュース 2014/1/16 02:45)

MSN産経ニュース2014年1月16日掲載

MSN産経ニュース2014年1月16日掲載(一部抜粋)

「主要株主」は一般に、「発行済株式の総数の100分の10以上の株式を保有する株主」を指すとされる(同様の定義が金融商品取引法163条1項に規定)。他方、「大株主」は一般に、企業の株式を大量に保有している株主をいい、有価証券報告書で情報開示が義務づけられている持株比率の上位10位までを大株主と呼ぶことが多い。

東電が公開している「大株主」上位10位のリスト(昨年9月30日現在)によると、筆頭株主の原子力損害賠償支援機構が発行済株式総数の54.96%に当たる19億4000万株を保有。一方、東京都は4267万6000株を保有し、持株比率は1.2%。都は、東電の株主総会での株主提案権を行使できるが、会社法の規定では、株主総会で総株主の議決権の10分の1以上の賛成が得られなかった場合、それから3年間は実質的に同一の議案を提案できないことになっている(304条)。

東京都は猪瀬知事時代の2013年4月、東電の株主総会で、発電所の個別収支等の詳細な経営情報を開示するよう、定款の一部変更を求める株主提案を行ったが、否決されている。

株主等の状況 (東京電力 2013/10/25)

東京電力ホームページより

東京電力ホームページより

東京電力(株)への株主提案について (東京都 2013/4/26)

第89回定時株主総会開催ご通知(PDF) (東京電力 2013/6/6)
⇒「第7号議案 定款の一部変更の件(4)」が東京都の株主提案。

第89回定時株主総会決議 臨時報告書(PDF) (東京電力)
⇒「第7号議案」は賛成票1,253,547個(5.24%)で否決されている。

原子力損害賠償支援機構の概要 (原子力損害賠償支援機構)


(*) 読売新聞1月18日付社説にも「東電株の50.1%は原発再稼働を目指す政府の原子力損害賠償支援機構が保有する」と言及しつつも、「都は東京電力の主要株主」との記載があったため、追記しました。(2014/1/20 21:00追記)