「共謀罪創設法案 来年提出」 政府「提出予定ない」

2013年12月13日注意報一覧メディア:ジャンル:,

▼政府が共謀罪を盛り込んだ法改正案を来年の通常国会に提出する検討に入ったと共同通信が報じたが、官房長官は「国会に提出の予定はない」と明確に否定した。

【共同】 2013/12/11「政府、共謀罪創設を検討 組織犯罪処罰法改正で」

《注意報1》2013/12/12 07:30

《注意報2》2013/12/13 17:00

《追記あり》2013/12/14 10:30


《注意報1》 2013/12/12 07:30

共同通信は12月11日付で、政府が10日、「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入ったと報じました。しかし、菅義偉官房長官は11日の記者会見で「何も検討していない。国会に提出する予定はない」と否定しています。

政府、共謀罪創設を検討 組織犯罪処罰法改正で (共同通信 2013/12/11 00:45)

共同通信2013年12月11日付

共同通信2013年12月11日付

「共謀罪」の創設は、国連総会で採択された「国際組織犯罪防止条約」の加入国が義務付けられているものです。同条約は2000年11月に採択され、2003年9月に発効(2012年8月現在の締約国は171か国・地域)。日本政府もこの条約に署名し、2003年5月、国会も同条約の締結を承認しました。しかし、同条約5条の「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」などの立法化がなされておらず(これまで3度、国会に法案が提出され、いずれも廃案)、政府は現在も同条約を締結していません。

共同通信は「共謀罪が広く適用されれば、国による監視が強化される恐れがある」と指摘しています。「共謀罪が広く適用されれば」とありますが、過去に国会に提出された共謀罪の法案では、殺人罪,強盗罪,監禁罪等「死刑、無期又は長期4年以上の懲役又は禁錮に当たる重大な犯罪」に限定されるなどの要件が定められています。また、「国による監視が強化される恐れがある」とありますが、法務省は「組織的な犯罪の共謀罪の新設に際して,新たな捜査手段を導入するものではありません」と説明しています。

菅義偉官房長官 記者会見(2013年12月11日午前) (首相官邸)

Q.共謀罪創設についてお尋ねします。国連が2000年だったと思うんですけど、国際組織犯罪防止条約を採択して、参加国に共謀罪の創設を求めている。日本政府としては今後どのように進めていく考えでしょうか。
A.今ご質問ありましたように、国際組織犯罪防止条約を締結するための担保法でありますけども、これについては、いつどうするかということは、まだ政府では決めてません。
Q.共謀罪の必要性について、政府としてはどのようにお考えでしょうか。
A.ですから、国際犯罪防止法を締結すると、そういう担保について、海外からそう言われてますけども、政府としてはまだ何も決めてない、そういうことです。

菅義偉官房長官 記者会見(2013年12月11日午後) (首相官邸)

Q.午前中の記者会見でも出たんですけども、共謀罪を創設する組織的犯罪処罰法改正案ですけれど、来年の通常国会の提出に向けて検討に入ったという報道があるんですけれども、これまでの検討状況に何か変化はあるんでしょうか。
A.午前中、私申し上げましたけど、何も検討しないということを私は申し上げました。ということは、国会に提出する予定はないということです。

国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(略称:国際組織犯罪防止条約) (外務省) ※和文テキスト一部抜粋

第二条 用語

この条約の適用上、
(a)「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。
(b)「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥く奪する又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。

第五条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化

1 締約国は、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
(a)次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
(i)金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
(ii)組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
a組織的な犯罪集団の犯罪活動
b組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)
(b)組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、幇助し、教唆し若しくは援助し又はこれについて相談すること。

国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件 (第156回国会〔2003年5月〕・参議院本会議)

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案 (第163回特別国会〔2005年秋〕・閣法) ※提出時法案一部抜粋

(組織的な犯罪の共謀)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&APDF版) (法務省)

法務省ホームページより一部抜粋

法務省ホームページより一部抜粋

日弁連は共謀罪に反対します (日本弁護士連合会)


《注意報2》 2013/12/13 17:00

共謀罪に関する法案を来年の通常国会に提出するとの報道に関連して、谷垣禎一法務大臣は13日の記者会見で「次期通常国会に提出する予定はございません」と改めて否定しました。一方で、国際組織犯罪防止条約を締結するための法整備の課題は残っているとの認識も示しており、ひきつづき政府内で法整備の検討を進めていくとみられます。

■■谷垣禎一法務大臣 記者会見(2013年12月13日)(法務省)

Q.一昨日、共謀罪に関する一部報道に対し、菅官房長官が通常国会に提出はしないという趣旨の発言をされました。改めて、法務大臣として共謀罪の創設に関するお考えをお聞かせください。
A.官房長官がおっしゃったとおりですね、国際組織犯罪防止条約を締結するための担保法について、次期通常国会に提出する予定はございません。ただ、国際組織犯罪防止条約を締結して国際社会と協力しながら、犯罪、組織犯罪と戦うということは、これは当然ながら重要な課題であるというふうに考えておりまして、この条約を締結するためにいかなる法整備が必要かというのは大きな問題点として残っているわけであります。
Q.次期通常国会への提出の予定はないということですけれども、あくまで法務省としては、国際条約の加盟に向けて、こういった法改正、法整備というのは目指すという姿勢であること間違いないでしょうか。
A.組織犯罪防止の条約ですが、非加盟国というのは今、極めて少なくなっていることは事実なんですね。北朝鮮やイランはまだ参加しておりません。これだけ例に挙げるといけないかもしれませんが、実は各国みんな参加していると。そうすると、日本はどうして参加しないのかという議論が当然起きてくる。これはもう当然のことだと思いますから、どういうことをやれば加盟できるのかということは大事な問題意識として残っていることは、これは否定できないですね。

高市早苗政務調査会長 記者会見(2013年12月12日)(自民党)

Q.共謀罪ですが、共謀罪について検討するというような報道がありまして、官房長官はそれについて否定的なコメントを出しているのですが、自民党政調として、共謀罪について次の国会に出すご予定があったりとかですね、そういった議論の土壌を作るご予定はあるのでしょうか。
A.国際的な協力関係の中で、日本は責務を果たしていかなければならないと思っております。次の通常国会に政府が提案をされるのかどうか、これは分かりません。されないという記者会見があったようなことも聞いておりますけれども、いずれ、それも出来るだけ早く日本として、例えば暴力団対策ですとか、組織的な犯罪に関する対応の体制を取っていくことが、国際社会に対する責任だと考えております。それらが審議される、また具体的に提出されるその時期は定かではございません。
Q.確認なんですけれども、先ほど会長、暴力団の犯罪への対応を取る必要があると仰られたんですけれども、それは将来的に共謀罪について検討する必要があるという趣旨なのか、要は手を入れると言う趣旨なのか。
A.国際社会のネットワークの中で組織的な犯罪、それがテロリズムであったり、組織的な暴力組織などであったり、そういった場合にこれに対する対応を国内できちっと行えるようにするということは大切なテーマではあると思っております。特に、これから東京オリンピック・パラリンピックもございます。国際社会で協調しあって、安全な社会をつくる、その方向性については大変重要なことだと認識を致しております。ただ、政府の対応として、どの時期にそれをお示しになるのかということは、私は伺っておりません。


(*) 自民党政調会長の会見録を追記しました。(2013/12/14 10:30)