受信料「全世帯に義務化」 NHK「検討の事実ない」

2013年12月8日注意報一覧メディア:ジャンル:, ,

▼NHKがテレビがない世帯を含む全世帯から一律に受信料を徴収する放送法改正を検討しているかのように毎日新聞が報じたが、NHKは検討している事実はないとしている。

【毎日】 2013/12/3朝刊1面「受信料『全世帯に義務化』ネット対応でNHK見解」

《注意報1》2013/12/8 12:40


《注意報1》 2013/12/8 12:40

毎日新聞は12月3日付朝刊1面で、「受信料『全世帯に義務化』ネット対応でNHK見解」の見出しをつけ、NHKが「テレビがなくても全世帯から受信料を徴収する義務化」すべきとの見解を示したかのように報じました。記事は、NHK経営委員会による受信料制度の見直し要請に対し、NHK執行部が放送法改正による「支払い義務化」を明記した回答文書を提出したと伝えています。この報道に対し、NHKは「放送法改正による受信料の支払義務化について、具体的に検討している事実はありません」としています。

毎日新聞2013年12月3日付朝刊1面

毎日新聞2013年12月3日付朝刊1面

NHK:受信料の全世帯義務化 ネットと同時放送で見解 (毎日新聞 2013/12/3)

 NHKの最高意思決定機関である経営委員会が、NHK執行部に対し、インターネットサービス充実のため、受信料制度の見直しを求めたところ、テレビがなくても全世帯から受信料を徴収する義務化を明記した回答文書を提出していたことが2日、分かった。
 経営委員会は今年2月、NHKに文書で義務化を含めた受信料制度の見直しを要請した。番組を放送と同時にネットで見られるようになると、区別して受信料を徴収するのは現実的には困難だからだ。これに対し、松本正之会長(69)をトップに理事ら計12人で構成するNHK執行部は8月、「今後の方向性」として放送法を改正して「支払い義務化」を明記した回答文書を経営委に提出。文書は(1)すぐに義務化に踏み切る(2)現行制度のもとで支払率を上げ「世帯数の減少や物価上昇などによる努力の限界」に直面した後に義務化する−−の2通りの方法を示している。
 …(中略)…
 義務化は、第1次安倍晋三政権で2006年に総務相に就任した現官房長官の菅義偉(すがよしひで)氏が強く求めた。当時は、相次ぐ職員の不祥事による受信料不払いが急増しており、菅氏は「義務化で2割は値下げが可能」と国会で述べたが、NHKの橋本元一会長が難色を示し、結果的に見送られている。
 文書について、NHK広報部は「内容は非公開としており、回答は差し控える」とコメントしている。

現在、放送法は、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」はNHKと受信契約を締結しなければならないと契約義務を定めていますが(64条1項)、受信料の「支払い義務」や契約義務に違反した場合の罰則等は定めていません。そのため、NHKは、受信設備を設置していて契約の締結に応じない人に対し、契約の締結や支払を求める訴訟等を起こす対応をとっています。

毎日新聞は、NHK執行部が8月、経営委員会による受信料制度の見直し要請に応じて、放送法改正による「支払い義務化」を明記した回答文書を提出したと報道。しかし、その回答文書に「テレビがない世帯も含めて全世帯から受信料を徴収する」という趣旨の記述があるかどうかは、記事から判然としていませんでした。そこで、当機構が毎日新聞社に問い合わせたところ、同社は「回答文書につきましては取材の中身に関することなので、申し訳ございませんがお答えできません」と明言を避けました。他方、NHKも、この回答文書については「内容は非公開としており、回答は差し控える」としています。

また、毎日新聞の記事には「義務化は、第1次安倍晋三政権で2006年に総務相に就任した現官房長官の菅義偉氏が強く求めた」と書かれ、2006年にも「テレビがなくても全世帯から受信料を徴収する義務化」の検討が行われたかのような印象を与える可能性があります。しかし、当機構が総務省放送政策課に取材したところ、当時の「義務化」の検討は、受信設備を設置した世帯に対象に「支払い義務」を定める法改正であり、「無条件に全世帯の支払い義務化をすることは当時も現在も検討していない」とのことです。この点について、毎日新聞は「当時の『義務化』の考え方が今回と必ずしもイコールとは考えておりません」と回答しています。

毎日新聞の報道は、テレビがない世帯を含む全世帯から一律に受信料を徴収する制度改正をNHKが検討していると受け止められ、NHK出身の池田信夫氏がブログで誤報の疑いを指摘していました。

毎日新聞の「テレビのない世帯から受信料」は誤報 (池田信夫blog 2013/12/4)

■日本放送協会(NHK)視聴者事業局のコメント

「放送とインターネットの融合に伴う課題については、経営委員会と執行部の間で意見交換を行っていますが、『放送法改正による受信料の支払義務化』について、具体的に検討している事実はありません。このことは、記事を掲載した新聞社にも伝えています。」

松本正之NHK会長記者会見 (NHK 2013/12/5)

Q.「受信料制度を抜本改正し、支払い義務化もあり得る」という文書が経営委員会に示されたと思うが?
A.誤解があるといけない。経営委員会とはいろいろな議論をするが、その資料は非公開であり、「こういう見解」というものを出したことはない。資料は検討材料であり、その中でいろいろな議論をしている。一部新聞で報道されている「義務化を決めた」というような議論はしていない。

■毎日新聞社 社長室委員広報担当のコメント

Q1.回答文書に「テレビがない世帯も含めて全世帯から受信料を徴収する」趣旨の文言が明記されているのか
A.回答文書につきましては、取材の中身に関することなので、申し訳ございませんがお答えできません。なお、池田信夫氏のブログは拝読しました。今回の記事は、池田氏がご指摘されるようなテレビを持っている世帯を対象とした義務化の話ではありません。放送と通信の融合に向け、受信料を見直し、インターネット利用者からも将来的に徴収することを念頭に置いたものです。

Q2.「義務化は、第1次安倍晋三政権で2006年に総務相に就任した現官房長官の菅義偉氏が強く求めた」でいう「義務化」も「テレビがなくても全世帯から受信料を徴収する義務化」と理解してよいのか
A.当時の「義務化」の考え方が今回と必ずしもイコールとは考えていません。記事では、過去に「義務化」について議論された事実関係に触れているだけで、当時の「義務化」の中身には触れておりません。

Q3.訂正をする考えがあるか
A.記事には自信を持っておりますので、訂正を出す考えはございません。