秘密期間「30年→60年 政府案より後退」は誤報

2013年11月28日注意報一覧メディア:, , , ジャンル:テーマ:

▼秘密保護法案の秘密指定期間が政府案の「原則30年」から修正後「原則60年」に倍増、後退したかのような一部報道があるが、実際は、政府案の無制限に延長可能な仕組みから、期間を制限する仕組みに修正されている。

【朝日】 2013/11/22朝刊2面「秘密保護法案 4党案 中身は後退」、2013/11/27朝刊1面トップ「秘密保護法案 衆院通過 自公が採決強行」、2面「秘密保護法案 他国と比較」、3面「秘密法制 増す疑念」、2013/11/28朝刊3面「『良識の府』正念場 秘密保護法案、参院論戦スタート」、14面「社説:秘密保護法案 欠陥商品は廃案を」【毎日】 2013/11/23朝刊2面「特定秘密保護法案 修正協議、問題残し 公開の原則実質後退」【共同】 2013/11/22「政府原案より後退も、根幹部分に変更なし」、2013/11/26「第三者機関、不明確 『知る権利』侵害も」「解説:政権の『独断専行』」【時事】 2013/11/22「知る権利、修正で後退も=秘密『原則60年』に批判」【東京】 2013/11/21朝刊1面「秘密保護法案 指定期間後退 維新賛成へ 30年→60年 例外7項目明記」、2013/11/27朝刊1面「秘密保護法案 採決強行 秘密 政権意のままに」

《注意報1》2013/11/28 12:45

《修正》改題しました 2013/11/28 20:30


《注意報1》 2013/11/28 12:45

国会で審議されている特定秘密保護法案をめぐり、朝日新聞など一部メディアが11月27日付朝刊などで、秘密の指定期間が修正案で「原則30年」から「原則60年」に政府案より後退した、もしくは期間が倍増した、などと報じました。しかし、実際は、政府案は内閣の承認があれば無制限に延長できる内容だったのに対し、修正案は例外7項目を除き、内閣の承認があっても最長60年に制限されています。また、政府案には明記されていなかった「原則30年」の条文が修正案に追加されています。したがって、秘密の指定期間が「原則30年」から「原則60年」に倍増したかのような報道は誤りで、正しくは「無制限」から「一部例外を除き最長60年」に修正されています。

(左から)朝日新聞2013年11月27日付朝刊1面、3面、11月22日付朝刊2面

(左から)朝日新聞2013年11月27日付朝刊1面、3面、11月22日付朝刊2面

朝日新聞が22日付朝刊で政府案と修正案を比較する表を掲載した際、秘密期間について政府案は「原則30年」と誤って記載し「政府案より後退」と指摘。時事通信も同様の比較表で、政府案は「5年ごとに延長可能。30年超は内閣の承認が必要」と正確に記載していましたが、「指定可能期間が2倍に」と誤った説明をしていました。

また、朝日新聞は、修正案が衆議院で可決した翌日の27日付朝刊の1面から3面にかけて計5か所で、政府案の「原則30年」が修正案で「原則60年」に延長されたかのような間違った記載があり、28日付朝刊でも社説を含め2か所で同様の誤りがありました。なお、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞を調べたところ、「原則30年」から「原則60年」に延びたかのように誤解を与えるおそれのある記事は確認できませんでした。

朝日新聞2013年11月28日付朝刊14面(社説)

朝日新聞2013年11月28日付朝刊14面(社説)

知る権利、修正で後退も=秘密「原則60年」に批判【図解・政治】秘密保護法修正案の問題点(2013年11月) (時事通信 2013/11/22)

特定秘密保護法案の政府原案では、(1)指定期間は5年以内、(2)延長は5年以内、(3)延長で通じて30年を超える場合は内閣の承認が必要とされ、内閣の承認で延長が無制限に可能な仕組みになっていました。修正案では、政府原案の(1)と(2)は同じで、(3)延長は原則30年までと明記、(4)内閣の承認があれば、7項目の例外を除き、最長60年まで延長できる、という仕組みになっています。つまり、30年までは行政機関の長の判断だけで延長でき、30年を超える場合は内閣の承認が必要とされている点は政府案・修正案ともに共通していますが、政府案は延長が制限なく可能となっていたのに対し、修正案は例外7項目を除き最長60年に制限されています。

(なお、東京新聞のニュースサイトに「特定秘密保護法案全文」が掲載されていますが、これは修正前の政府原案であり、注意が必要です。修正案は下記参照。)

特定秘密保護法案 政府提出原案 (衆議院)

(指定の有効期間及び解除)
第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
 3 行政機関(会計検査院を除く。)の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。
 4 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。

特定秘密保護法案 修正案 (衆議院) ※以下は、修正案を反映した条文。太字が修正案で追加・修正された条文。

 (指定の有効期間及び解除)
第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して5年を超えない範囲内においてその有効期間を定める。
 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
 3 指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができない。
 4 前項の規定にかかわらず、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合(行政機関が会計検査院であるときを除く。)は、行政機関の長は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて延長することができる。ただし、次の各号に掲げる事項に関する情報を除き、指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない。
  一 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。別表第一号において同じ。)
  二 現に行われている外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報
  三 情報収集活動の手法又は能力
  四 人的情報源に関する情報
  五 暗号
  六 外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供された情報
  七 前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な情報

 5 行政機関の長は、前項の内閣の承認を得ようとする場合においては、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提示することができる。
 6 行政機関の長は、第四項の内閣の承認が得られなかったときは、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第八条第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る情報が記録された行政文書ファイル等(同法第五条第五項に規定する行政文書ファイル等をいう。)の保存期間の満了とともに、これを国立公文書館等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。)に移管しなければならない。
 7 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。


(*) 見出しを「秘密期間『原則30年に政府案より後退』は誤報」から改題しました。