秘密保護法「一般人は処罰対象外」はミスリード

2013年11月17日注意報一覧メディア:, ジャンル:テーマ:

▼特定秘密保護法案の国会審議で森担当相が「一般人は処罰対象外」で、罰則が公務員に限定されると強調したかのような一部報道があったが、実際はそのように答弁していない。

【産経】 2013/11/12朝刊5面「秘密保護法案『一般人は処罰対象外』森担当相、公務員ら限定強調」【共同】 2013/11/11「秘密保護法、一般人は処罰対象外」

《注意報1》2013/11/16 08:00

《注意報2》2013/11/17 14:30

《追記あり》修正案の条文説明、引用を追記しました。2013/11/29 12:00


《注意報1》 2013/11/16 08:00

産経新聞は11月12日付朝刊で、「秘密保護法案『一般人は処罰対象外』森担当相、公務員ら限定強調」と見出しをつけ、森雅子担当相が罰則は特定秘密を扱う公務員らに限定され、一般人は処罰されないと答弁したかのように報じました。共同通信も「一般人は処罰の対象外」との見出しで報道。しかし、森担当相は、一般人が特定秘密と知らずに情報を接し、その内容を知ろうとしたとしても、処罰の対象とならないと述べていましたが、無条件に一般人が処罰の対象外になるとは答弁していませんでした。

また、産経の記事は、森担当相が「罰則が特定秘密を取り扱う公務員らに限定されていることを強調」したと伝えていますが、そのような発言も確認できませんでした。

産経、共同の記事は、本文で「一般の人が、特定秘密と知らずに情報に接したり、内容を知ろうとしたりしても一切処罰の対象にならない」という森担当相の発言を引用していますが、見出しや記事のリードで、あたかも森担当相が「一般人が処罰の対象外」と答弁したかのように誤解を与える可能性があります。

現在国会で提出されている法案(原案)には、犯罪の主体を「特定秘密に関する業務に従事する者」などに限定して処罰する規定もありますが(22条)、不正な方法で特定秘密を取得した者や共謀、教唆などの共犯については犯罪の主体を限定せずに処罰する規定となっています(23条、24条)。(* 修正法案についての追記あり

秘密保護法、一般人は処罰対象外 衆院安保特別委で森特命相 (共同通信 2013/11/11 14:22)

「一般人」は処罰対象外 秘密保護法案で森担当相 (MSN産経ニュース 2013/11/11 15:01)

産経新聞2013年11月12日付朝刊5面

産経新聞2013年11月12日付朝刊5面

衆議院国家安全保障特別委員会(2013年11月11日) (衆議院インターネット審議中継) ※22:25~23:35より引用

中谷元(自由民主党) 大臣に伺いますけれども、一般の国民または報道関係者が特定秘密と知らずに話したり聞いたことを公言・公表したとしても刑罰に問われるかなと。通常の思想・言論は保障されたものであるという認識をもっております。たとえば、オスプレイの飛行日時、これいつだろうとみんなで相談することは、これはこの法律に引っかかるというように心配をしてらっしゃる方もおられますけども、こういう一般の方々がそういう相談をすること、これはこの法律によって罰せられることはあるのでしょうか。

森(担当相) 委員ご指摘のようなことが罰されることはありません。一般の方がですね、特定秘密と知らずに情報に接し、その内容を知ろうとしたとしてもそれは一切処罰の対象になりません。

特定秘密の保護に関する法律案(第185回臨時国会) (衆議院) ※注 下記の引用条文は政府原案です。衆議院で可決された修正法案の条文は後記を参照してください。

第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。(一部、略)

第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。(一部、略)

第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、五年以下の懲役に処する。
2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。


《注意報2》 2013/11/17 14:30

産経新聞が11月12日付朝刊で、国会で審議中の特定秘密保護法案について、一般人は処罰対象外で罰則は特定秘密を取り扱う公務員らに限定されるかのように報じたことに関連し、礒崎陽輔内閣総理大臣補佐官は自身のツイッターで、(22条に規定される)秘密漏えい罪については一般国民に適用されないものの、(23条、24条に規定される)「暴行、脅迫、侵入等による秘密の不正取得の場合及び特定秘密と知っていて秘密漏えいを公務員に働き掛ける教唆の場合」については、一般国民も処罰対象になり得ることを説明しています。


(*) 政府原案は衆議院で修正され、修正案が可決されています。《注意報1》《注意報2》で引用しているのは政府原案の条文です。政府原案の22条~24条は23条~25条に移り、文言も修正されています。

■特定秘密保護法案 修正案(一部抜粋)

第二十三条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
2 第四条第五項、第九条、第十条又は第十八条第四項後段の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。第十条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

第二十四条 外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全若しくは国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。

第二十五条 第二十三条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。
2 第二十三条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。