柏崎原発再稼働 社説で知事の「条件」を誤認

2013年10月7日注意報一覧メディア:ジャンル:, テーマ:

▼日経新聞が社説で、東電が柏崎刈羽原発の安全審査を申請したことに関し、新潟県知事が重大事故時のベント実施に「県の事前了解」を条件にしたとして批判したが、そうした条件は付されていなかった。

【日経】 2013/9/28朝刊2面「社説:柏崎刈羽再稼働へ地元との信頼確立を」【産経】 2013/9/30朝刊2面「主張:柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める」

《注意報1》2013/9/29 07:30

《注意報2》2013/9/30 16:00

《注意報3》2013/10/7 12:00


《注意報1》 2013/9/29 07:30

日本経済新聞は9月29日付朝刊で、東京電力が新潟県の柏崎刈羽原発のいわゆる安全審査を原子力規制委員会に申請したことを受けて社説を掲載しました。その中で、泉田裕彦知事が申請を条件付きで承認した際、重大事故時にフィルター付きベントを実施に「県の事前了解が必要」としたと指摘し、これを疑問視。しかし、泉田知事が申請を条件付き承認した際、「ベント実施の事前了解」を条件とした事実はなく、県が社説の修正を求めるコメントを出しています。

社説:柏崎刈羽再稼働へ地元との信頼確立を (日本経済新聞 2013/9/28)

2013年9月28日付朝刊2面社説

2013年9月28日付朝刊2面社説

社説は、「泉田知事が東電に求めた申請の条件には、疑問がある」とした上で、「重大事故が起きたとき、放射性物質を外部に放出するフィルター付き排気(ベント)の実施に、県の事前了解が必要としたことだ」と指摘。「重大事故への対応は一刻を争うだけに、それで迅速かつ適切な初動ができるのか」と批判的に論じました。これは、緊急事態に個別に事前了解をとっていては迅速かつ適切な対応が困難になるという趣旨と考えられます。

しかし、泉田知事が東電に条件付き承認をした文書には、「今回申請のフィルタベント設備は地元避難計画との整合性を持たせ安全協定に基づく了解が得られない限り使用できない設備であること」を原子力規制委員会への申請書に明記することが条件の一つとして記載されていましたが、重大事故が起きてベントを実施する時に個別に県の事前了解を求めるという趣旨の条件は入っていませんでした。

泉田知事はツイッターで「認識違い」と指摘し、日経新聞に正式に申し入れたとコメント。県はホームページ上で、「実際に事故が発生した際の個別の対応に、県の了解を得るよう求めたものではありません」としています。

なお、日経新聞は21日付朝刊1面で、東電が柏崎刈羽原発の安全審査申請を知事の承認がなくても9月中に申請する方針を固めたかのように報道。すぐに東電が県の了解なく申請することはないとのコメントを発表し、日経新聞が22日付朝刊で東電のコメントを載せ、事実上の訂正報道をしていました。

平成25年9月28日付 日本経済新聞2面社説について (新潟県 2013/9/28)

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条件付き承認に伴う知事コメント(付:条件付き承認の文書) (新潟県 2013/9/26)

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《注意報2》 2013/9/30 16:00

産経新聞は、9月30日付朝刊で「柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める」と題する社説を掲載しました。その中で、新潟県の泉田知事が「申請容認にあたり、原発事故時に放射性物質の放出を抑える『フィルター付き排気装置』を使用するさいには、事前に地元了解を取り付けることを条件にした」と指摘。「この条件は問題だ。一刻を争う緊急時の安全対策で、運用に法的根拠のない地元独自の煩雑な手続きを課すことになるからである。早急に見直さなければならない」と主張しました。これも29日付日経新聞の社説と同様、緊急事態に個別に事前了解をとっていては迅速かつ適切な対応が困難になるという趣旨と考えられます。

これに対し、泉田知事は、ツイッターで「産経の主張は事実誤認」と指摘。新潟県は、日経新聞の社説と同様、産経新聞社に対し修正を求めたと発表しています。なお、日経新聞は28日付社説について、30日現在、訂正記事を出していません。

主張:柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める (MSN産経ニュース 2013/9/30 03:16)

…東電は、7月初旬の新安全基準の施行と同時に安全審査を申請する方針だったが、泉田氏の同意が得られなかった。宙に浮いたままだった申請にこぎ着けることができたのは一歩前進といえよう。
しかし、泉田氏は申請容認にあたり、原発事故時に放射性物質の放出を抑える「フィルター付き排気装置」を使用するさいには、事前に地元了解を取り付けることを条件にした。
 だが、この条件は問題だ。一刻を争う緊急時の安全対策で、運用に法的根拠のない地元独自の煩雑な手続きを課すことになるからである。早急に見直さなければならない。(以下、略)…

産経新聞2013年9月30日付朝刊2面「主張」

産経新聞2013年9月30日付朝刊2面「主張」

平成25年9月30日付け 産経新聞2面「主張」について (新潟県 2013/9/30)

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(*) 見出しを「柏崎原発再稼働 日経社説で知事の『条件』を誤認」から「柏崎原発再稼働 社説で知事の『条件』を誤認」に変更しました。


《注意報3》 2013/10/7 12:00

産経新聞は、10月1日付朝刊で、新潟県が9月30日、東電と「了解が得られない限りフィルター付ベント(排気)設備の運用開始はできない。実際に事故が発生した際の個別対応に、県の了解を得るよう求めたものではない」との認識で一致していると発表したと伝え、事実上の訂正報道を行いました。

■「事故時の了解求めたのではない」 フィルター付きベント設備の運用で新潟県知事 (MSN産経ニュース 2013/9/30 23:00)

産経新聞2013年10月1日付朝刊24面

産経新聞2013年10月1日付朝刊24面

また、日本経済新聞も10月4日付朝刊で新潟県の泉田知事のインタビュー記事を掲載し、その中で、県が付けた条件について泉田知事が「事故が起きた時の個別の対応に、県の事前了解を得るよう求めたものではない。装置の運用開始前に避難計画と整合性を取るよう求めたものだ」とのコメントを伝え、事実上の訂正報道を行いました(日経電子版・有料版のみにインタビュー詳細を掲載)。

日本経済新聞2013年10月4日付朝刊5面

日本経済新聞2013年10月4日付朝刊5面