来年の消費増税 「首相の決断事実ない」と官房長官

2013年9月25日注意報一覧メディア:, , , , , , ジャンル:, テーマ:

▼安倍首相が来年4月に消費増税8%引き上げる方針を固め、5兆円規模の経済対策を指示したと相次いで報道されたが、菅官房長官は「総理が決断したという事実はない」と否定している。(追加情報あり)

【読売】 2013/9/12朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」、同2面「『景気に冷や水』回避狙う 『2%』分は実質還元」、2013/9/16朝刊2面「消費増税 『家計支出減らす』56% 本社世論調査 『軽減税率導入を』74%」、2013/9/23朝刊2面「消費税10%は『経済次第』 首相『推移見ながら判断』強調」【朝日】 2013/9/21朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」【毎日】 2013/9/12夕刊1面「消費増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」【産経】 2013/9/19朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」【日経】 2013/9/19夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止前倒し 来月1日表明」、2013/9/23朝刊2面「10%は改めて判断 消費増税 首相『経済の推移見る』」【共同】 2013/9/12「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」【時事】 2013/9/12「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日にも表明」、2013/9/22「消費税10%は改めて判断=集団的自衛権、来春以降に-安倍首相」【東京】 2013/9/12夕刊1面「消費税 来年4月8% 2%分 経済対策5兆円 首相決断 社会保障目的どこへ」、2013/9/23朝刊2面「消費増税 10%上げ時に再び判断 首相 8%後の経済踏まえ」

《注意報解除》2013/10/1 21:00 安倍首相は10月1日、来年4月の消費増税を決断したと表明しています。

《注意報1》2013/9/13 07:00

《加筆あり》2013/9/13 12:15

《注意報2》2013/9/18 12:40

《注意報3》2013/9/21 09:00

《加筆あり》2013/9/21 11:40

《注意報4》2013/9/23 20:45

《注意報5》2013/9/25 21:00


《注意報1》 2013/9/13 07:00

読売新聞は、9月12日付朝刊1面トップで、安倍晋三首相が消費税を来年4月に8%に予定どおり引き上げる意向を固め、増税による腰折れ対策として5兆円規模の経済対策を実施する考えだと報じました。共同通信、毎日新聞なども同様に報じました。これに対し、菅義偉官房長官は12日午前の会見で、安倍首相が増税について「決断をしたという事実はありません」と否定。5兆円規模の経済対策についても「具体的な数字は全く出ておりません」としています。

菅官房長官は、10日の閣僚懇談会で安倍首相が経済政策のとりまとめを指示したことは認めていますが、増税するかどうかの最終判断は「10月上旬」になるとし、「全く固めたということは事実と違う」と述べています。

他方、12日付朝日新聞夕刊や12月付NHKは、安倍政権内で増税を想定して5兆円規模の経済対策を検討していると報じる一方で、安倍首相は経済対策を見極めた上で最終判断すると伝えており、まだ最終判断には至っていないことを示唆しています。

消費税率、来年4月に8%…首相が意向固める (Yomiuri Online 2013/9/12 04:05)

読売新聞2013年9月12日付朝刊1面

読売新聞2013年9月12日付朝刊1面

消費税率、来年4月8%に 首相、10月1日表明へ (共同通信 2013/9/12 09:34)

共同通信2013年9月12日付

共同通信2013年9月12日付

消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え-安倍首相、来月1日にも表明 (時事通信 2013/9/12 10:08)

菅義偉官房長官 記者会見(2013年9月12日午前) (首相官邸)

Q.消費税についてお伺いします。一部報道で、安倍総理が来年4月から8%に引き上げる方針を固めたと報じられています。長官の所見と事実関係をお願いします。
A.総理が消費税を引き上げるというですね、決断をしたという事実はありません。総理は種々の経済指標をしっかりと見きわめて、総理自身が来月上旬に判断をされるということであります。ただ、先般の閣僚懇でですね、消費税を引き上げる場合には経済への影響もあるため、十分な対応策が必要であり、そうした意味合いも含めて経済政策パッケージをまとめるように、総理から10日の閣僚懇で指示があったところであります。規模や中身については、これから甘利大臣と麻生大臣を中心に詰めていく、そこはそうした事実です。
Q.10日の閣僚懇でそうした指示があったということは、素直に受け取れば、消費税引き上げとセットで経済対策のパッケージもという受けとめもできると思うんですが、そうではないんですか。
A.私も実は総理との会談に同席をしました。さまざまな状況を考えた中で、総理は10月上旬に、私が責任を持って判断しますと、そういうことでしたから、全く固めたということは事実と違うと思います。
Q.同じ読売の報道で、経済対策の規模なんですが、5兆円規模で総理が指示を出したということなんですが、これは大体5兆円という指示なんでしょうか。
A.具体的な数字は全く出ておりません。
Q.数字というのも、じゃ、これから……。
A.今申し上げましたように、経済政策、パッケージ取りまとめるようにですね、総理がこういうことを指示したわけですから、それに基づいて、規模や中身については、今申し上げましたように、麻生大臣と甘利大臣との間で詰めていくということになるだろうと思います。ただ、そうしたもの全体を総理自身が掌握した上で、最終的に判断するということですから、まだ判断はしてません。

菅義偉官房長官 記者会見(2013年9月12日午後) (首相官邸)

Q.午前中、消費増税の決断したという事実はないということだったんですが、その後も一斉に報道が続いて、株も為替も金利も非常に落ち着いているんですけれども、その辺はどうごらんになっていらっしゃいますか。
A.午前中、申し上げたとおりでありまして、それがすべてであります。
Q.報道にもかかわらず、市場全般が落ち着いていたということに関しては、いかがでしょうか。
A.それは、私は、あまりよくそこはわかりません。マーケットというのは報道で動くのかどうか、そこを承知してません。


(*) 対象記事に東京新聞を追加しました。(2013/9/13 12:15)

 


《注意報2》 2013/9/18 12:40

読売新聞は16日付朝刊で、自社の世論調査の結果とを報じた中で「首相は消費税率を来年4月から予定通り8%に引き上げる意向を固め、景気の腰折れを防ぐため、5兆円規模の経済対策を実施する考えだ」と伝えました。同紙が実施した世論調査(9月13~15日実施)では、前月の世論調査にあった予定通りの引上げの是非に関する質問をなくなり、消費税率が来年4月に8%に引き上げられることを前提とした質問が3つ設けられていました。こうした記事は、首相が消費税率の引き上げを既に決断しているとの印象を与える可能性があります。しかし、菅官房長官は12日や13日の記者会見で、「総理が消費税率引き上げを決断したという事実はない」と強調し、最終決断は10月上旬になると指摘しています。

消費増税「家計支出削る」56%…読売世論調査 (Yomiuri Online 2013/9/16 17:54)

『消費増税 「家計支出減らす」56% 本社世論調査 「軽減税率導入を」74%』
 読売新聞社が13〜15日に実施した全国世論調査で、来年4月から消費税率が8%に引き上げられた場合、家計の支出を今よりも「減らそうと思う」と答えた人は56%で、「そうは思わない」の40%を上回った。〈本文記事1面〉
 消費税率引き上げに伴い、生活必需品などの税率を低くする軽減税率の導入を求める人は74%に上った。
 首相は消費税率を来年4月から予定通り8%に引き上げる意向を固め、景気の腰折れを防ぐため、5兆円規模の経済対策を実施する考えだ。
 政府が検討している経済対策で最も重要だと思うものを聞いたところ、「固定資産税の減税」が26%で最も多く、「低所得者への現金の給付」22%、「公共事業の拡大」13%、「企業の設備投資への減税」12%などが続いた。(以下、略)
(読売新聞2013年9月16日付朝刊2面より一部抜粋)

■読売新聞世論調査(9月13~15日実施分と8月8~10日実施分)の「消費税」に関する質問と回答の比較

読売新聞2013年9月16日付朝刊17面(消費税に関する質問と回答のみ抜粋)

読売新聞2013年9月16日付朝刊17面(消費税に関する質問と回答のみ抜粋加工)

読売新聞2013年8月11日付朝刊21面(消費税に関すえる質問と回答のみ抜粋加工)

読売新聞2013年8月11日付朝刊21面(消費税に関すえる質問と回答のみ抜粋加工)

 

菅義偉官房長官 記者会見(2013年9月13日午前) (首相官邸)

Q.法人税の実効税率の引き下げの検討の必要性について、どうお考えになっているのか。また引き下げ検討の指示を具体的に出しているのかどうか。
A.まず、いろんな報道がありますけども、明快なことはですね、総理が消費税率引き上げを決断したという事実はないということです。種々の経済指標等をしっかり見きわめて、総理が来月上旬に判断をする、これが今の基本的な事実であります。ただ、消費税を引き上げる場合には、経済への影響もあるために十分な対応策が必要であると。そうした意味合いを含めて経済政策パッケージを取りまとめるように、総理から10日の閣僚懇の中で指示がされたということです。そして規模や中身について、これらについては甘利大臣、麻生大臣を中心に詰めていくという、それが今の状況です。ですから、中身は何も決まっていないということ。
Q.具体的に総理が法人税を挙げて指示を出したということはない?
A.具体的に、総理からそうした指示は、私、同席してましたけどありませんでした。
Q.その上で、長官として、法人税実効税率の引き下げに関してはどのように今お考えですか。
A.両大臣の中で、中心に進めてますから、ただ、この問題、大事なのは、やはりアベノミクスと言われる経済政策、そこがしっかり推進をしていくということが一番大事だというふうに思っています。

 


《注意報3》 2013/9/21 09:00

主要各紙が安倍首相が来春の消費増税を決断したと相次いで報じる中、菅官房長官は20日午後の会見で「総理自身から決断したということは私は全く聞いておりません」と述べています。

安倍首相が来春の消費増税を決断したとの報道は、読売新聞の12日付朝刊が最初。その後、共同通信、時事通信が追いかけ、毎日新聞が12付夕刊で報道。さらに、産経新聞が19日付朝刊で、日本経済新聞が19日付夕刊で報道。20日午後4時ごろに行われた官房長官の会見で、朝日新聞の記者が質問で、首相の決断について「まだ事実確認できていない」と述べていましたが、その直後の午後7時前、電子版で「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」と報じました。朝日新聞は、21日付朝刊で、首相が決断したのは、官房長官の会見終了直後に行われた麻生財務相、甘利経済再生相との会談だったと伝えています。

菅義偉官房長官 記者会見(2013年9月20日午後) (首相官邸)

Q.(朝日新聞)消費税についてほぼ各社の報道で既に総理が決断をしていると、8%の4月の増税という方針を固めたということですが、私に取材力がないのか私はまだ事実確認できてないんですけど、実際のところ、総理はいつ決断して、側近である官房長官はどのように指示というか報告を受けているんでしょうか。
A.正直なところ、総理は、私は決断をしていないと思います。私ども総理、副総理、甘利大臣の4人で会談をした際も、それについては様々な引き上げた場合の対策を見ながら、総合的なパッケージの中で、総理は最終的に私が判断をします、と。そこまででありますから、総理ご自身からですね、もう決断したということは私は全く聞いておりません。私がかねてより申し上げてますように、10月になって短観等の数字を見た上でですね、総理自身その対策、そうしたものも含めた上で判断をすると、こういうふうに思っていますし、現実的にまだ判断をしてないと。今、対策のパッケージというものを出てくるのを見守っているということだろうというふうに思います。
Q.その上でお聞きしますが、総理と麻生財務大臣が会談されると思うんですが、その中で法人税の復興部分の前倒し部分と実効税率(引下げ?)を15年度から実施できるか検討するとか、アベノミクスとの連動性の高い部分で指示を出していると思うんですが、この辺がクリアできればアベノミクスにおいても消費増税に踏み切れる環境整備が整うという認識でよろしいんでしょうか。
A.まずですね、総理はまだ具体的に消費税どうするかっていうのは決断をしてないということです。それと同時に、復興税増税前倒し等いろんな記事が躍ってますけども、その復興財源25兆円を削ることはあり得ないということです。この予算についてはしっかり25兆円で行います。(以下、略)


(*) 朝日新聞の21日付朝刊に掲載された情報を追記しました。(2013/9/21 11:40)

 


《注意報4》 2013/9/22 20:45

22日放送のテレビ朝日の番組で、17日に収録された安倍首相のインタビューが放送され、主要各紙は、安倍首相が消費税率10%への引上げについて、8%に引き上げたの経済情勢を見極めた上で判断する考えを示したと報じました。その際、「首相は10月1日、5兆円規模の経済対策と合わせて消費税率を8%へ引き上げることを発表する方針だが、10%への引き上げについては、改めて検討する考えを強調したものだ」(23日付読売新聞)、「首相は10月1日に8%への引き上げを正式表明するとともに、公共事業や企業減税を中心とした大規模な経済対策を打ち出す方針だ」(23日付日本経済新聞)などと、来春の8%への引上げを既定路線とみなして10%への引上げに焦点を当てた伝え方をしています。

しかし、22日放送のインタビューで、安倍首相は8%の引き上げについて10月上旬に判断すると明言した上で、デフレから脱却して経済を力強く成長させていくチャンスは絶対手放したくないという観点から判断したいと述べていました。しかし、この部分を伝えた主要紙はありませんでした。

Q.安倍総理が決断すれば「安倍増税」ということになるわけですが、そのリスクはもちろん覚悟して判断されるということでしょうか?

A.それは私が10月上旬に判断するんですから、これは私の責任です。判断すれば結果に対しても責任をもたなければなりません。それ以上に、やっとつかんだチャンスを、デフレから脱却をして経済を力強く成長させていくことができるかもしれないチャンスをつかんだんですから、このチャンスは絶対に手放したくないという観点から判断したいと思います。(…)消費税を上げる場合においても、今やっと景気が回復し始めているわけですから、景気が回復している、この回復基調を腰折れさせてはなりません。もし上げる場合には、腰折れさせないような経済政策のパッケージをまとめるようにとの指示を先般、財務大臣、経産大臣に行いました。

(テレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」9月22日放送より一部抜粋)

 


《注意報5》 2013/9/25 21:00

安倍晋三首相は25日、訪米先で同行記者団と懇談した際、「まだ消費税を引き上げるかどうか決めていない。さまざまな経済指標を分析しながら判断していきたい」と述べました。時事通信が25日配信した「安倍首相発言要旨」から判明しました。

主要各紙は安倍首相が同行記者団と懇談した内容を報じていますが、時事通信が配信した「安倍首相発言要旨」を除き、消費増税の決断をしていないとの発言部分は伝えていません。

安倍首相発言要旨(一部抜粋) (時事通信 2013/9/25 11:30)

Q.消費税率引き上げの判断が迫っている。法人税の実効税率引き下げについての考えは。
A.まだ消費税を引き上げるかどうか決めていない。さまざまな経済指標を分析しながら判断していきたい。成長軌道を維持し、活力を取り戻すための十分な対応策が必要だ。こうした点を勘案した規模、内容(の経済対策)となるよう最終的な詰めを行っている。デフレから脱却して経済を再生させ、財政再建との両立を図る道筋を確かなものにしていくことが重要だ。企業収益の拡大を図りながら、賃金の引き上げ、雇用の拡大につなげていく。さまざまな可能性を検討したい。企業の活力を維持することで、必ず賃金に反映されるようにしていく。その観点から法人税をどう考えるかということになる。

 


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消費増税報道を斬る(上)―安倍首相「決断」をめぐる異様な報道 (Yahoo!ニュース個人 2013/9/25)
消費増税報道を斬る(下)―日経新聞「増税後も景気改善4割」にみる”世論操作” (Yahoo!ニュース個人 2013/9/26)