遠隔操作 「携帯から猫写真復元」も誤報

2013年10月26日注意報一覧メディア:, , ジャンル:, テーマ:

▼PC遠隔操作事件で、捜査本部が片山さんの携帯電話のデータを復元し、真犯人が報道機関に送ったメールに添付された写真と同一のものが見つかったとの一部報道があったが、そのような証拠は出てこなかった。(続報・追記あり)

【朝日】 2013/2/23夕刊13面「全面対決 PC遠隔操作事件」【日経】 2013/2/13朝刊42面「匿名化忘れ掲示板接続か パソコン遠隔操作事件」、2013/3/5朝刊41面「遠隔操作に浮かぶ痕跡」【時事】 2013/2/12「遠隔操作の掲示板に接続=同時間帯に匿名化ソフトも―業務妨害容疑で逮捕の男」

《注意報1》2013/7/13 07:00

《注意報2》2013/10/26 16:00

《追記あり》記者会見映像リンクを追記しました。 2013/10/29 13:15


【お知らせ】5月20日、片山祐輔氏は弁護人に一連のPC遠隔操作事件の真犯人であると認め、22日の公判で起訴事実を全部認めました。弁護人によれば、片山氏は、真犯人と名乗るメールに添付されていた江の島の猫の写真も自分が撮影したことを認め、携帯電話やスマートフォンではなく、携帯型ビデオカメラ「PLAYSPORT」で撮影し、逮捕前に捨てたとのことです。捜査段階で「PLAYSPORT」は見つかっておらず、片山氏が所持していた撮影機材から写真を復元できたとの情報が誤りだったことに変わりないと判断し、注意報は維持します。(2014/5/24 07:20)

■関連■【PC遠隔操作】特集ページ

《注意報1》 2013/7/13 07:00

いわゆるPC遠隔操作で、朝日新聞は2月23日付で、真犯人と名乗る人物が報道機関に送ったメールに添付されていた江の島の猫の画像と同一の画像が、片山祐輔さんが以前使っていた携帯電話に保存されていたと伝えていました。日本経済新聞も2月13日付などで、捜査本部が携帯電話のデータを復元したところ、真犯人がメールで添付した猫の画像と同じ画像が見つかったと報じていました。(*)

しかし、7月10日に検察側が犯人であることを立証するために必要な証拠を開示しましたが、報道された「携帯電話から復元された写真」の証拠はなかったとのことです。片山さんの弁護人の佐藤博史弁護士が10日の会見で明らかにしました。仮に、そのような写真が復元できていれば、片山さんと犯人を結びつける有力な証拠として提出されていたと考えられます。佐藤弁護士は当機構の取材に対し「復元された写真」の報道は「明らかな誤報だったと断定できる」と指摘しています。

■全面対決 PC遠隔操作事件 (朝日新聞 2013/2/23夕刊13面)

朝日新聞2013年2月23日付夕刊13面(一部抜粋)

朝日新聞2013年2月23日付夕刊13面(一部抜粋)

匿名化忘れ掲示板接続か パソコン遠隔操作事件 (日本経済新聞2013/2/13電子版、朝刊42面と同一)

 片山容疑者が1月3日に江の島(神奈川県藤沢市)で猫にSDカード付きの首輪をつけた後、この猫の画像が保存された携帯電話を売却していたことも分かった。
 画像はすでに消去されていたが、捜査本部がデータを復元した結果、真犯人が報道機関などに送ったメールで示した、首輪を付ける前の猫の画像1枚と同じ画像が見つかった。撮影日時は不明だった。捜査本部は片山容疑者が証拠隠滅を図ったとみて、画像が撮影・入手された経緯を確認している。(一部抜粋)

遠隔操作に浮かぶ痕跡 容疑者は全面否認続ける (日本経済新聞2013/3/5電子版、朝刊41面と同一)

 捜査本部は片山容疑者が1月に売却したスマートフォン(スマホ)を押収。このスマホを解析し、1月5日に報道機関などに届いた「真犯人」を名乗るメールに添付された猫の画像と同一とみられる画像データを復元した。(一部抜粋)

遠隔操作の掲示板に接続=同時間帯に匿名化ソフトも-業務妨害容疑で逮捕の男 (時事通信2013/2/12 12:36)

 片山容疑者は、犯人を名乗る人物から送られたメールに添付されていた猫の写真などを一時保存したスマートフォンを売却しており、捜査本部は証拠隠滅を図ったとみている。

(*) なお、読売、毎日、産経の各紙やNHKも、片山さんが1月に売却した携帯電話から、真犯人が首輪をとりつけた猫の画像が復元されたという情報を伝えていました。しかし、真犯人が首輪をとりつけた猫は他にも多くの人が接触、撮影していたとみられ、インターネット上にも流通しています。そのため、猫の画像を保存していたという事実だけでは犯人であることの証拠にはならないと考えられます。猫の画像は復元されたものの真犯人との結びつきが明らかでないため、証拠提出されなかった可能性もあります。


《注意報2》 2013/10/26 16:00

9月24日、東京地裁で第5回公判前整理手続が行われ、片山さんの事件を担当する検察官が「メールに添付された江ノ島の猫を撮影した写真が、被告人の携帯電話から復元されたという証拠は今のところない」と認める発言をしていたことが分かりました。10月25日、第6回公判前整理手続の後に開かれた弁護側の記者会見で、佐藤弁護士が明らかにしました。

一部メディアは、犯人を名乗る人物が報道機関に送ったメールに添付された江の島の猫の写真と同一の画像が、片山さんが売却した携帯電話(スマートフォン)から復元されたと報道(《注意報1》参照)。これを片山さんと犯人を結び付ける有力な間接証拠の一つとしていました。これに対し、弁護側は公判前整理手続で復元された画像の証拠が検察側から開示されなかったことから、そうした証拠は存在せず明らかな誤報だと反論。今回、検察官も証拠がないことを認めたことにより弁護側の反論が裏付けられ、報道が誤りだったことが確実となりました。

ただ、復元された画像の証拠がないことを検察官が認めた事実は、主要メディアはどこも報じていません。

弁護団記者会見(2013年10月25日東京地裁・司法記者クラブ) (videonews.com配信) 

朝日新聞2013年2月23日付夕刊13面「全面対決 PC遠隔操作」より

朝日新聞2013年2月23日付夕刊13面「全面対決 PC遠隔操作」より

日本経済新聞2013年3月5日付朝刊42面

日本経済新聞2013年3月5日付朝刊42面「匿名化忘れ掲示板接続か パソコン遠隔操作事件」より

(**) 誤報であったことが確実と判断し、見出しを「遠隔操作『携帯から猫写真復元』も誤報の可能性」から「遠隔操作『携帯から猫写真復元』も誤報」に変更しました。

(***) 弁護団記者会見の映像リンクを追加しました。(2013/10/29 13:15)