「被後見人全員に信託利用拡大」は誤り 日弁連指摘

2013年6月12日注意報一覧メディア:ジャンル:,

▼被後見人の財産を信託する制度の利用対象を被後見人全員に拡大することに日弁連が合意したと日経が報道したが、日弁連は全員への拡大ではないと指摘している。

【日経】 2013/6/4夕刊1面「成年後見、全員が利用可能に 高齢者財産 信託で保護 最高裁 日弁連 使い込み防ぐ」

《注意報1》 2013/6/12 19:00

日本経済新聞は、6月4日付夕刊1面で「成年後見、全員が利用可能に」と見出しをつけ、信託銀行の「後見制度支援信託」の対象を成年被後見人全員に拡大することに最高裁判所と日本弁護士連合会が合意したと報じました。これに対し、日弁連は、利用対象は拡大されるものの「成年被後見人全員に拡大することに合意した」との部分は事実でないとしています。

「後見制度支援信託」とは、被後見人の財産のうち日常的に使用しない金銭を信託する仕組みで、最高裁の提案で2012年2月から導入された制度。弁護士等の専門職後見人と家庭裁判所の判断で信託契約を結ぶかどうかを決め、信託契約締結後に専門職後見人は辞任し、親族後見人に引き継ぐことになっています。

日弁連広報課によると、この制度は従来、新たに後見が開始された人を対象に実施されてきましたが、今後、すでに後見が開始し、親族が後見人に就いているケースも利用できるようになるとのことです。ただ、利用対象は従来どおり、親族が後見人に就くケースに限られ、弁護士ら専門職が後見人に就くケースは対象外。しかも、家裁が必要と判断する場合に限られ、「成年被後見人全員に適用されるわけではない」としています。また、裁判所が関与する「法定後見」に限られ、裁判所が関与しない「任意後見」は対象外となっている点も、従来と変わりないとのことです。

また、日経の記事で「月内にも実施」とありますが、日弁連広報課によると、最高裁が日弁連を通じて各地の弁護士会に協力を依頼し、各地の弁護士会と家庭裁判所の準備が整ったところから順次行うこととなっており、6月中に実施することが決まったとの情報は承知していないとしています。

日本経済新聞2013年6月4日付夕刊1面

日本経済新聞2013年6月4日付夕刊1面(一部切り取り)

成年後見、信託で財産保護 全員に対象拡大 (日本経済新聞 電子版 2013/6/4 11:57) ※記事全文は有料

 高齢の認知症患者や知的障害者すべての成年後見を受ける人(成年被後見人)が、財産保全のため信託銀行のサービスを利用できるようになった。最高裁判所と日本弁護士連合会(日弁連)は、信託銀の「後見制度支援信託」の対象を被後見人全員に拡大することで合意。月内にも実施する。増え続ける認知症患者らの財産被害は社会問題になっている。信託銀で財産の使途を監視し被害を防止。成年後見制度の信頼確保につなげる。(以下、略)

<参考>

後見制度において利用する信託の概要 (裁判所リーフレット)
後見制度支援信託 (一般社団法人 信託協会)
最高裁判所提案の「後見制度支援信託」導入の条件及び親族後見人の不祥事防止策についての意見書 (日本弁護士連合会 2011/10/18)