遠隔操作「追送検決め手」 被疑者との結びつき不明

2013年6月5日注意報一覧メディア:ジャンル:, テーマ:

▼PC遠隔操作事件で片山氏が追送検されたことを受け、「追送検の決め手」となったとする情報を産経が報道。だが、片山氏との関連性が全く明らかでなく「決め手」と呼べる情報ではなかった。

【産経】 2013/6/4 MSN産経ニュース「片山被告を追送検 PC遠隔操作 小学校襲撃予告の疑い」「ウイルス作成罪の立件、焦点」、2013/6/5朝刊22面「片山被告を追送検 小学校襲撃予告の疑い」「ウイルス作成罪の立件焦点

《注意報1》 2013/6/5 09:45

いわゆるPC遠隔操作事件で、警視庁などの合同捜査本部が6月4日、威力業務妨害罪で片山裕輔さんを追送検したと各紙が報じました。このうち産経新聞は5日付朝刊などで「追送検の決め手となった」とする捜査関係者の情報を伝えました。しかし、そこで伝えられたのは追送検事件の犯行手口に関する情報だけで、真犯人と片山さんの結びつきは全く明らかになっていません。この記事は「追送検の決め手」となる根拠を全く示さないで、「決め手」となる情報が存在するかのように伝えることにより、一般読者に片山さんが犯人であると印象づけるおそれがあります。

産経の記事は、追送検事件では「クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)」と呼ばれる不正プログラムが使用され、掲示板に書き込まれたURLをクリックしただけで、事前に用意されたメールなどが自動的に指定先のホームページ(HP)に送られる仕組みだったと指摘。神奈川県警に誤認逮捕された男性が偶然、このURLをクリックしただけで、横浜市のHPに襲撃予告のメールが送られたとしています。その上で、「神奈川事件のURLの接続先は米国のサーバーになっており、米連邦捜査局(FBI)の捜査で、このサーバーからCSRFの痕跡が発見された。これが追送検の決め手となった」と伝えています。

しかし、産経が示した「URLの接続先である米国サーバーから、CSRFの痕跡が発見された」という情報からは、片山さんとの関連性が全くうかがえません。そのため、この情報だけでは片山さんが犯人であると推認する余地はなく、「決め手」となる情報ではないと考えられます。

産経は、追送検の事実関係を伝える中でも「合同捜査本部によると、片山容疑者は一貫して容疑を否認し、取り調べを拒否している」と、あたかも片山さん側が取調べを全面的に拒否しているように報道。しかし、実際は、弁護側は、取調べの録画・録音を条件に取調べに応じると再三表明しています(参照:【注意報】遠隔操作「可視化拒否され黙秘」 実際は「雑談」も)。

片山被告を追送検 PC遠隔操作 小学校襲撃予告の疑い (MSN産経ニュース 2013/6/4 18:28)
ウイルス作成罪の立件、焦点 (MSN産経ニュース 2013/6/4 21:55)

産経新聞2013年6月5日付朝刊22面

産経新聞2013年6月5日付朝刊22面