「日豪EPA大筋合意」 両政府否定

2013年5月3日注意報一覧メディア:, , ジャンル:, テーマ:

▼日豪EPA交渉が4月中に最終合意し、妥結する見通しと日経が報道。しかし、農林相や豪政府関係者が報道内容を否定、次回交渉日すら決まっていない。

【産経】 2013/4/8朝刊9面「日豪EPA 農業分野で大筋合意 牛肉に低関税枠、夏にも妥結」【日経】 2013/4/7朝刊1面「日豪EPA妥結へ 月内メド、農産品に低関税枠」【共同】 2013/4/7「日豪EPA、農業分野で大筋合意 牛肉に低関税枠」

《注意報1》 2013/4/15 21:30

産経新聞は4月8日付朝刊で、日本とオーストラリアの両政府による経済連携協定(EPA)交渉が農業分野で大筋合意したと報じました。日本経済新聞も7日付で、日豪EPA交渉が月内にも最終合意し、妥結する見通しと伝えました。しかし、豪州の現地専門紙によると、豪政府の外務貿易省(DFAT)スポークスマンが8日、「まだ何も合意に達しておらず、次回の交渉日も決まっていない」と答えたとのことです。また、林芳正農林水産大臣も9日の記者会見で、まだ合意に至っていないと答えています。

なお、日本農業新聞は、4月9日付で、日豪EPA交渉が自動車分野で行き詰まったため、農業分野でも合意に至っていないと報じています。

日豪EPA妥結へ 月内メド、農産品に低関税枠 TPP交渉参加に弾み (日本経済新聞2013/4/7 ウェブ記事全文は有料版)

 日本とオーストラリア両政府による経済連携協定(EPA)交渉が月内にも最終合意し、妥結する見通しだ。農産品は日本が関税をなくさない代わりに豪州から一定量まで低い関税で輸入し、豪州は日本車にかける5%の関税を当面残す方向だ。安倍晋三首相が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に加わる意向を表明したことをきっかけに、日豪間の調整が加速した。
 日豪両政府は4月中にも17回目の交渉会合を開き、最終合意を目指す。日本にとり豪州は中国、米国、韓国に次ぐ4番目の貿易相手国。豪州にとっては中国に次ぐ2番目の相手国が日本だ。包括的な協定で決着すれば、安倍、ギラード両首相が経済活性化やエネルギー安全保障など連携の成果を国民に説明する。(以下、略)

日豪EPA、農業分野で大筋合意 牛肉に低関税枠 (共同通信2013/04/07 18:22)

『日豪EPA、農業分野で大筋合意 牛肉に低関税枠、夏にも妥結』
 日本とオーストラリアの両政府による経済連携協定(EPA)交渉が、焦点の農業分野で大筋合意したことが7日、分かった。牛肉など農産品の一部について、日本側が高関税を原則として残した上で、一定量を低関税で受け入れる枠を設ける。自動車関税の扱いを最終調整し、今夏にも妥結させたい考えだ。
 日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明したことを受け、オーストラリアは2国間EPAでの農産品の関税撤廃要求を取り下げ、米国などに先んじて少しでも輸出を伸ばす姿勢に転換した。
 一方、日本車に課す関税については、当面維持を求める主張に転じた。日本は農産品の関税撤廃を回避できることもあり、自動車関税は段階的引き下げを容認する方向で検討する。(以下、略)
(産経新聞2013年4月8日付朝刊9面)

DFAT denies FTA deal has been done with Japan (BEEF CENTRAL 2013/4/8)

農林水産大臣記者会見概要:平成25年4月9日(火曜日) (農林水産省)

Q.大臣、すいません。あの、日豪EPAは、だいたい何合目ぐらいまで。
A.そうですね、これは、もう、2007年に開始してから16回、公式会合をやっております。で、あの、各分野様々なレベルで意見交換をされてきておりますが、まだ、農林水産品の市場アクセス交渉も含めてですね、合意に至ってない、まあ、状況でございます。したがって、あの、これは、衆・参農林水産委員会の国会決議がありますので、こういうセンシビブ品目に配慮を行いながらですね、粘り強く、まあ、交渉をやってるとこういう段階です。

Q.じゃあ、まだ、あの、合意が近いっていう感じではないんですね。
A.これは、まあ、あの、交渉中ですので、あまり、その、近いとか遠いとかということを、まあ、申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

Q.農産物分野でも、かなり意見の隔たりがあるっていう感じですか。
A.今、申し上げたように、まだ、この、農林水産品の市場アクセス交渉も含めてですね、まだ、合意に至ってないと、こういう状況です。

日豪EPAが暗礁 自動車関税 折り合わず 牛肉輸入低関税枠調整 TPP視野に (日本農業新聞Web 2013/4/9)

 日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)交渉が、自動車分野をめぐり暗礁に乗り上げたことが8日分かった。オーストラリアが輸入車に課す関税を当面維持することを提起し、日本が難色を示したためだ。農業分野では牛肉で低関税の輸入枠を設ける方向で調整してきたが、自動車で交渉が行き詰まったことから合意に至っていない。オーストラリアは9月に総選挙を控えており、夏までに合意できるかが焦点となりそうだ。(以下、略)

<参考>

日・オーストラリア経済連携協定 (日本政府外務省)
About the Australia-Japan Free Trade Agreement negotiations (豪州政府外務貿易省)
オーストラリアとのEPA/FTA (在日オーストラリア大使館)


《注意報2》 2013/5/3 01:40

日本経済新聞は4月7日付朝刊1面トップで、日豪EPA交渉が月内にも最終合意し、妥結する見通しと報じた際、「4月中にも17回目の交渉会合を開き、最終合意を目指す」と伝えました。しかし、4月に第17回会合が開催されることはありませんでした。5月2日現在、日豪EPA交渉会合は、2012年6月の第16回会合を最後に開催されておらず、第17回会合の開催予定が決まったとの情報も確認されていません。

4月21日には、茂木経済産業大臣とオーストラリアのエマーソン貿易大臣が会談がインドネシアで行われましたが、この会談の結果について、日本側は「TPP交渉や日豪EPAについて意見交換し、引き続き意見交換を通じて前進させていくことを確認しました」とのみ発表。オーストラリア側も「両大臣は日豪経済連携協定 (EPA/FTA) 交渉に関して、その機運を維持していく点で合意した」とのみ発表しています。次回会合についての言及は全くありませんでした。

日経は、4月7日付で日豪EPA交渉が月内に最終合意すると報じた際、「安倍晋三首相が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に加わる意向を表明したことをきっかけに、日豪間の調整が加速した」「6年越しの交渉に出口が見えてきたのは日本のTPPへの参加表明が大きい」などと詳しく解説。しかし、これ以降、日豪EPAに関する続報や訂正は全く出ていません。

日本経済新聞2013年4月7日付朝刊1面

日本経済新聞2013年4月7日付朝刊1面

茂木大臣がAPEC貿易担当大臣会合(MRT)に出席しました (経済産業省 2013/4/22) ※2頁目に茂木経済産業相とエマーソン貿易相の二者会談の結果について記載があります。
オーストラリア、日本の環太平洋パートナシップ(TPP)協定交渉参加を歓迎 (在日オーストラリア大使館 2013/4/22)

<関連>

【注意報】日豪EPA「基本合意」 農水相否定、朝日は訂正(2013/5/15付)