遠隔操作「可視化拒否され黙秘」 実際は「雑談」も

2013年2月21日注意報一覧メディア:ジャンル:, テーマ:

【東京】 2013/2/19朝刊28面「遠隔操作事件 片山容疑者 可視化拒否され黙秘 警察『対象でない』」


《注意報1》 2013/2/21 07:00

いわゆるPC遠隔操作事件で、東京新聞は、2月19日付朝刊で、「可視化拒否され黙秘」の見出しをつけ、威力業務妨害の疑いで逮捕された片山さんが、捜査当局が取調べの録画・録音の申入れを拒否したことから、黙秘に転じたと報じました。しかし、弁護人の佐藤博史弁護士によると、片山さんは18日、取調べの担当刑事と「雑談」と称する会話に応じ、その中には片山さんのプログラム言語に関する知識・経験に触れるものなど事件に関するものもあったとのことです。また、片山さん側は、取り調べ全過程の録音・録画、いわゆる「可視化」を実施するまで取調べに応じないが、可視化されればすぐに取調べに応じるとしており、供述を一切拒否する「黙秘」ではないとしています。

東京新聞2013年2月19日付朝刊29面(一部切取り)

東京新聞2013年2月19日付朝刊28面(一部切取り)

東京新聞の記事は、「捜査関係者によると、片山容疑者は十七日朝に可視化を求めたが、捜査本部は受け付けなかった」とありますが、佐藤弁護士らが捜査当局に可視化の申入れを最初にしたのは2月14日。その後、17日に2回目、18日に3回目、19日に4回目の要求書を当局に提出していました(当機構が要求書を入手し確認しました)。

記事には「捜査本部は『可視化の対象事件ではない』と拒否し、片山容疑者は黙秘に転じているという」と書かれ、この部分が前後の文脈から弁護人への取材に基づくもののように読めますが、佐藤弁護士は捜査当局から可視化拒否を明言されたことはなく、「可視化の対象事件ではない」との発言を新聞記事で初めて知ったとのことです。また、「黙秘に転じている」と書かれていますが、17日に弁護側は可視化を実施しない限り取調べ・供述に一切応じないと示し、片山さんは沈黙を貫いたものの、18日は午前と午後の合計3時間50分にわたって、事件に関連する事項を含む「雑談」に応じていたとのことです。(*) 佐藤弁護士によれば、片山さんは17日、弁護方針に従って、可視化されない取調べを拒否したため、長時間にわたり質問もなく取調官の面前で座らせる「無言の行」をさせられたことから、18日は取調官に「雑談」に誘導され「昨日のように、黙ったままでは苦痛なので」応じてしまったとのことです(以上、19日付要求書)。(**)

弁護側は18日付、19日付要求書で「黙秘」ではないと繰り返し強調。佐藤弁護士は19日の会見でも記者団に「間違ってもらっちゃこまるのは、繰り返しますが、私たちは黙秘なんかをしてるわけじゃ全然なくって、本人にもまったくそういう指示をしておりません」「(他の弁護士から)なぜ完全黙秘させないんだと(と言われている)」としています。

(*) こうした経緯は、佐藤弁護士が18日夜の東京新聞の取材に説明していたとのことです。また、17日に片山さんが沈黙を貫いたことについては中日新聞18日付朝刊が報じていました(東京新聞の発行元は中日新聞社東京本社)。
(**) 弁護側は可視化されない取調べを拒否している中での取調室での「雑談」への誘導も違法な取調べだとして、19日からは取調べのための出房を拒否する方針を表明(19日付要求書)。捜査当局は、片山さん側が要求する可視化に応じていないため、20日現在、一切取調べが実施されていない(20日の会見)とのことです。
(***) 「片山さんは17日、弁護方針に従って、可視化されない取調べを拒否したため、合計3時間50分にわたり質問もなく取調官の面前で座らせる「無言の行」をさせられた」の部分は、正しくは、午前の取調べで1時間半以上放置され、午後も弁護人が接見する午後3時まで同じ状態に置かれたとのことです。「合計3時間50分」は18日の「雑談」の時間でした。よって、「長時間にわたり質問もなく…」に訂正しました。(2013/2/22 12:45)