遠隔操作 首輪つけた瞬間画像「存在疑わしい」

2013年7月11日注意報一覧メディア:, , ジャンル:, テーマ:

▼PC遠隔操作事件で逮捕直後、被疑者が遠隔操作ウイルスのソースコードが入った首輪を猫にとりつける様子を防犯カメラがとらえていたと報じられた。しかし、実際はそのように確認できる映像証拠は存在しなかった。

【読売】 2013/2/11朝刊1面「PC遠隔操作、30歳逮捕 漫画イベント殺人予告疑い」、同39面「挑発『ゲームです』」、2013/2/12夕刊15面「PC遠隔操作『猫に首輪』日付偽装か 別の日の写真添付」【産経】 2013/2/11朝刊3面「遠隔操作『江の島の映像』徹底解析」、2013/2/13朝刊27面「派遣先PCから掲示板接続の記録」、2013/2/15朝刊26面「遠隔操作江の島行き認める 片山容疑者 事件関与は否認」【朝日】 2013/2/11朝刊39面「猫とカメラ 特定の鍵」、2013/2/15朝刊38面「片山容疑者『犯人は別』 弁護人に話す」

《注意報1》2013/2/20 08:00

《注意報2》2013/7/11 07:00


【お知らせ】5月20日、片山祐輔氏は弁護人に一連のPC遠隔操作事件の真犯人であると認め、22日の公判で起訴事実を全部認めました。弁護人によれば、片山氏は2013年1月3日に江の島で猫に首輪を付けたことも認め、防犯カメラ映像にうつっていた間、手には首輪を持っていたとのことです。第1回公判の法廷で映像が再生されましたが、片山氏が猫と向き合っていた際、カメラに背を向けた姿勢だったため、首輪を猫に取り付ける決定的な瞬間は映っていませんでした。そうした決定的な瞬間が映っていたかのような情報が誤りだったことに変わりないと判断し、注意報は維持します。(2014/5/24 07:20)

■関連■【PC遠隔操作】特集ページ

《注意報1》 2013/2/20 08:00

いわゆるPC遠隔操作で威力業務妨害の疑いで会社員の片山祐輔さんが逮捕された事件で、読売新聞などは、逮捕第一報の2月11日付朝刊などで、江の島の防犯カメラに残っていた1月3日の映像に、片山さんに似た男が猫に首輪をとりつける姿が映っていたとし、この映像が犯人の特定につながったと報じました。しかし、片山さんは、逮捕以来一貫して事件への関与を否認し、江の島に行った事実は認めているものの、猫に首輪を付けたこと自体は否定しているとのことです。片山さんの弁護人を務める佐藤博史弁護士は、報道されたような「男が猫に首輪をつけた瞬間が映っている映像の存在は疑わしい」と反論しています。

佐藤弁護士は、2月19日午後の接見後の記者会見で、以前に捜査官に「もし決定的な証拠があるなら、早く出してほしい」と言っても、沈黙しか返ってこなかったことを指摘。その後の当機構の単独取材でも「首輪をつけた瞬間の映像があるなら、すぐ突きつけるのが自然なのに、警察は映像を全く出さない」と捜査側の不自然さを指摘し、男が猫に首輪をつけた瞬間が映っている映像の存在自体に強い疑問を示しました。(*)

読売新聞2013年2月11日付朝刊39面

読売新聞2013年2月11日付朝刊39面

読売新聞は、2月11日付朝刊で「江の島の防犯カメラには猫に首輪を付ける様子が映っており、その場を去ったオートバイの通行記録などから片山容疑者が特定された」「防犯カメラには、猫にピンク色の首輪をつける男の姿が鮮明に映っていた」「決め手となったのは、防犯カメラに残った片山容疑者の映像だった。先月3日、神奈川・江の島で、遠隔操作型ウイルスのソースコード(設計図)が入った記録媒体を野良猫に取り付ける姿が捉えられた」などと報道。しかし、14日付夕刊で一転して「捜査関係者によると、江の島の防犯カメラには、片山容疑者が今年1月3日午後3時頃、猫の体に触れたり、写真を撮ったりする様子が映っていた」と、「取り付ける姿」との表現がなくなっています。

産経新聞は、2月11日付朝刊で「遠隔操作ウイルス事件で逮捕された片山裕輔容疑者がネコに首輪を付けた映像が写っていた防犯カメラ」との写真説明を付けた記事を掲載していましたが、15日付朝刊では「防犯カメラには同3日午後3時ごろ、片山容疑者がネコに接触する姿が写っていた」と修正されています。

朝日新聞は11日付第一報で「不審な男が猫に首輪を取り付ける前後の様子が写っていた」と報じていたものの(ただ、容疑者特定の解説図で「防犯カメラに猫に首をつける様子(1月3日 江の島)」と表記)、15日付朝刊で「首輪を野良猫に付ける人物が防犯カメラに写っていた」と報じています。

朝日新聞2013年2月11日付朝刊39面(左)、産経新聞2013年2月11日付朝刊3面

朝日新聞2013年2月11日付朝刊39面(左)、産経新聞2013年2月11日付朝刊3面

(*) 片山さんらしき男が首輪を猫に取り付ける姿が映った映像は存在しないとの佐藤弁護士の指摘は、2月17日付スポーツ報知が報道。さらに、ジャーナリスト江川紹子さんの19日のインタビューでも同様の指摘をしています。
片山容疑者の弁護士、無罪「確信」…PC遠隔操作事件 (スポーツ報知2013/2/17)
【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く (Yahooニュース個人 江川紹子 2013/2/19 22:19)

 


《注意報2》 2013/7/11 07:00

いわゆるPC遠隔操作事件で、片山さんが2月10日に逮捕された直後、江の島の防犯カメラに残っていた1月3日の映像に、片山さんに似た男が猫に首輪をとりつける姿が映っており、その首輪から遠隔操作ウイルスのソースコードが見つかり、真犯人の特定につながったと報じられました。この「逮捕の決め手」と報じられた映像証拠に関して、7月10日、検察側は、片山さんが猫に首輪をつけたことを立証するため、防犯カメラの映像証拠を弁護側に開示。(**) しかし、佐藤博史弁護士によると、その映像には、遠目から片山さんらしき人物が猫に触れたり、写真をとったりしていることが辛うじてうかがわれるものの、逮捕当初報道されたように「猫に首輪をとりつける姿」は映像で確認できなかったとのことです。10日の証拠開示直後の弁護側会見で明らかにされました。

弁護側によると、片山さんは、逮捕当初から、1月3日に江の島に行き、問題の猫に触れたり、写真をとったりしたこと自体は認めていますが、首輪をつけたことは否定。佐藤弁護士は、2月中旬ころから会見などで、「猫に首輪をつけた瞬間が映っている映像の存在は疑わしい」「そのような決定的証拠があれば突きつけているはず」と報道内容を疑問視していました。今回の証拠開示により、「猫に首輪をとりつける姿」がうつった映像が存在するとの逮捕当初の報道の誤りが裏付けられたと考えられます。

弁護側は会見冒頭で、逮捕直後に決定的証拠として報じられた防犯カメラ映像が開示されたことを詳しく説明。しかし、当機構が11日付各紙を調査したところ、この映像証拠について言及した記事は一つもありませんでした。

(**) 今回弁護側が確認した防犯カメラ映像は、公判前整理手続の一環で、検察側が、片山さんが真犯人であることを立証するために弁護側に開示した証拠のうち一つ(刑事訴訟法第316条の14参照)。
(***) 11日付各紙で、防犯カメラ映像の開示について言及した記事がなかった点を加筆しました。(2013/7/11 11:30)
(****) 10日の会見については江川紹子さんの記事も参照。

【PC遠隔操作事件】報じられてきた「決定的証拠」はなかった (Yahoo!ニュース個人 2013/7/11)

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弁護人が指摘した3つの誤報疑惑―PC遠隔操作事件 (Yahoo!ニュース個人 2013/2/22)
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