「がれき広域処理、大半3月末終了」 実際は一部だけ

2013年5月10日注意報一覧メディア:ジャンル:, , テーマ:,

▼宮城、岩手の震災がれきの広域処理が3月末で大半が終了すると報道された。しかし報道時点で広域処理が終了したのは約3割で、「大半が終了」の根拠は不明だ。

【東京】 2013/2/11朝刊24面「広域処理 来月末で大半終了」

《注意報1》 2013/2/16 08:30

東京新聞は、2月11日付朝刊の「こちら特報部」面で「広域処理 来月末で大半終了」との見出しで、「宮城、岩手両県の震災がれきを被災地以外で処理する『広域処理』の大半が、来月末で打ち切られる」などと報じました。しかし、今年3月末で終了すると見込まれているのは岩手県の木くずと宮城県の可燃物だけで、広域処理が必要とされる震災がれきの一部です。2012年末までに広域処理の受入が終了したのはまだ約3割で、当機構の調査では「3月末までに大半の広域処理が終了する」とした根拠は確認できていません。

がれき激減で、広域処理の大半が3月末で打ち切り(東京新聞WEB 2013/2/11)

 宮城、岩手両県の震災がれきを被災地以外で処理する「広域処理」の大半が、来月末で打ち切られる。必要量が当初の推計の6分の1にまで激減したためだ。受け入れ先では放射能汚染への不安にとどまらず、税金の無駄遣いが指摘され、北九州市などでは訴訟にも発展した。大阪では警察の介入が問題視された。東北の地元にも反対意見が強く、旗振り役の環境省は早期撤退に追い込まれた形だ。…(中略)…
環境省は先月二十五日に公表した震災がれき処理計画の見直し版で、広域処理の必要量を六十九万トンに下方修正した。昨年十一月末時点の百三十六万トンから半減。当初の推計の四百一万トンと比べると、実に六分の一にまで落ち込んだ。
広域処理のうち、主な対象である宮城県の可燃物と岩手県の木くずは三月末、残り岩手県の可燃物なども十二月末にそれぞれ終了する。当初予定の来年三月末から約一年の前倒しとなった。(以下、略)

東京新聞2013年2月11日付朝刊23、24面

東京新聞2013年2月11日付朝刊24、25面

東京新聞の記事は、「広域処理のうち、主な対象である宮城県の可燃物と岩手県の木くずは三月末、残り岩手県の可燃物なども十二月末にそれぞれ終了する」としています。

ところが、環境省の最新のデータによると、広域処理が必要な全体量は約69万トンで、このうち宮城県の可燃物は14万3500トン、岩手県の木くずは2万9900トンで、これらを合計しても17万3400トンとされています。記事で「主な対象」とされた宮城県の可燃物と岩手県の木くずの量は全体の約4分の1(25%)にすぎず、「残り」とされた岩手県の可燃物だけでも17万8900トンで、宮城県の可燃物と岩手県の木くずの合計とほぼ同じ量になります。

また、環境省が1月25日に改定した最新の処理工程表によると、記事が指摘しているとおり、宮城県の可燃物と岩手県の木くずの広域処理を3月末までに終了させ、岩手県の可燃物も12月末までに終了させるとの目標を示しています。ただし、両県の不燃物や宮城県の木くずなどは年度内(2014年3月)に受入先を確定させるなどして処理のめどをつけるとしており、12月末までに終了するとは明記していません。目標どおり年度内に受入先を確定させたとしても、受入が実施され終了するのはさらにその先になるとみられます。

環境省の最新データでは、広域処理の受入実施が終了したのは2012年末時点で約20万7000トンで、必要全体量(約69万トン)の約3割にとどまっています。(*) 環境省は1月25日に加速化の目標を掲げているとはいえ、今年3月末までに「大半の」広域処理が終了する見通しが立っているとは必ずしもいえないと考えられます。

(*) 処理済量と処理見込量を合計すると約59万トンで全体の86%だが(1月25日現在)、これを「3月末までに広域処理が終了する量」と同視することはできないと思われる。
(**) 東京新聞の原報道の引用を補充しました。(2013/2/16 19:20)

東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表(進捗状況・加速化の取組)(環境省2013/1/25)…広域処理の方針、目標時期については18~19頁を参照。
東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表(進捗状況・加速化の取組)参考資料(環境省2013/1/25)…広域処理の全体と種類別の必要量、処理見込量については「資料5」広域処理必要量一覧を参照。広域処理に受入済量については「資料4」の表の「受入済量」の合計欄を参照。

<広域処理に関する参考ページ>
環境省 広域処理情報サイト
災害廃棄物の広域処理(PDF説明資料)(環境省2013/2/4)

 


《注意報2》 2013/2/16 19:30

東京新聞2月11日付「こちら特報部:広域処理 来月末で大半終了」の記事について、同紙執筆者の佐藤圭記者より、ツイッター上で当機構の注意報に関し、事実関係の反論が寄せられました。それによると、佐藤記者は、広域処理の主な対象は木くずを含めた可燃物であるとしたうえで、広域処理が必要な可燃物(木くずを含む。44万トン)のうち宮城県の可燃物・木くずと岩手県の木くずの計26万トンは今年3月末までに終了すると指摘しています。また、不燃物についても3月末までに相当進むと指摘しています。

ただ、原報道では「広域処理の大半が3月末で打ち切られる」と報じており、「広域処理のうち可燃物・木くずの大半が打ち切られる」とはしていませんでした。また、環境省が公表している広域処理必要量のうち可燃物・木くずを除く、不燃物などの量は約25万トンで、全体の約36%を占めており、無視できない量と考えられます。

他方、岩手県の可燃物や不燃物などについても「今年3月末までに相当進む」との指摘については、原報道では書かれていなかった事実関係ですが、当機構で引き続き調査していく予定です。

東京新聞佐藤圭記者のツイッター(投稿日時:2013/2/16 15:36~16:34、上から順に投稿順)

130216_tokyo_sato(*) 当初、「佐藤記者から当機構宛てに反論が寄せられた」としていましたが、第三者の質問に回答したつもりだったとの指摘を受けましたので、訂正しました。(2013/2/16 20:15)
(**) 佐藤記者が「宮城県の可燃物・木くずと岩手県の木くずの計24万トンは今年3月末までに終了すると指摘しています」としたのは「計26万トン」の誤りでした。訂正します。(2013/2/16 22:20)
(***) 佐藤記者のツイッター投稿の画像を、投稿順に並び替えました。(2013/2/16 22:20)

 


《注意報3》 2013/3/26 08:00

東京新聞は、2月11日付の「広域処理 来月末で大半終了」の記事で、「宮城、岩手両県の震災がれきを被災地以外で処理する『広域処理』の大半が、来月末で打ち切られる」と報じました。

しかし、環境省の3月22日付発表資料によると、両県で広域処理が必要な全体量は69万7600トンで、うち受入先が決まったのは65万5100トンですが、実際に受入が実施されたのは28万3500トンで、全体の約40%にとどまっています(2月末時点)。

災害廃棄物処理の進捗状況(3県沿岸市町村)(環境省廃棄物・リサイクル対策部 2013/3/22)

 


《注意報4》 2013/5/10 09:00

環境省は、5月7日、震災がれき広域処理の3月末時点の進捗状況を公表しました。それによると、両県で広域処理が必要な全体量は66万8200トンで、このすべてについて受入先が決まったとのことです。ただ、実際に受入が実施され終了したのはまだ31万8300トンで、全体の約47.6%にとどまっています。

東京新聞は、2月11日付で「宮城、岩手両県の震災がれきを被災地以外で処理する『広域処理』の大半が、来月末で打ち切られる」と報じていましたが、実際は広域処理が必要な全体量の半分近くが終了したにとどまり、「広域処理の受入の大半が打ち切られる」ということはありませんでした。

環境省は、残りの震災がれきの広域処理目標について、岩手県については今年12月までに、宮城県については来年3月までに受入終了を目指すとしています。

3月末時点の災害廃棄物処理の進捗状況(3県沿岸市町村)(環境省廃棄物・リサイクル対策部 2013/5/7)※広域処理の進捗状況は「広域処理に関する地方自治体の状況」(平成25年5月7日時点で把握しているもの)を参照。