日経「個人情報売買解禁」 実際は「個人情報匿名化」

2012年11月30日注意報一覧メディア:ジャンル:,

【日経】 2012/11/29朝刊5面「経済対策70の規制改革案、個人情報の売買解禁 新事業創出を後押し 広域PFIも可能に

《注意報1》 2012/11/30

日本経済新聞は、11月29日付朝刊及びニュースサイトで、「民間の個人情報売買解禁」との見出しをつけ、30日に閣議決定する予定の経済対策のうち、個人情報を匿名化したうえで他の企業に売買できる新ルールをつくることに焦点を当てて報じました。この記事では、「個人情報の売買解禁」という大きな見出しが付けられ、本文でも「保護を前提としている個人情報の売り買いに道を開くのは初めて」と記されていました。しかし、実際は、「個人情報」の売買を解禁するための検討ではなく、「個人情報」を「個人情報でない状態」にしたうえで利用できるようにするための検討とみられます。

民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し(日本経済新聞:ウェブ速報2012/11/29 2:00)

日本経済新聞2012年11月29日付朝刊5面

30日閣議決定された「日本再生加速プログラム」をみると、「個人を特定できない状態にした情報の利用の自由化」という項目が設けられていましたが、その内容は、どの程度の加工等を実施すれば「個人情報」に該当しなくなるのか等いわゆる「匿名化」に関して検討を行うとされており、「個人情報」そのものの売買を検討するというものではありませんでした。

原報道も、本文で、「企業や病院などが持つ個人情報を匿名化したうえで他の企業に売買できる新ルール」をつくり、「情報の出し手側が住所の一部や氏名、電話番号など個人を特定できる情報を削除したデータを作成。その情報を製造業などが買い取り、地域や年齢層に応じた新商品の開発や市場調査に生かせるようにする」としています。しかし、見出しや本文の一部記述から、あたかも「個人情報」を売買の対象とするための検討を行うかのような誤った印象を与えるおそれがあります。

日本再生加速プログラム ~経済の再生と被災地の復興のために~(平成24年11月30日閣議決定)(13頁、23頁の項目9)

どの程度の加工等を実施すれば個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に規定する「個人情報」に該当しなくなるのか、いわゆる連結可能匿名化情報の取扱い等、いわゆる「匿名化」に関して検討を行い、必要に応じ、事業等分野ごとのガイドライン等に示す。消費者庁は個人情報保護関係省庁連絡会議等を活用し、各省庁に対しガイドライン等の周知を図るとともに、その取組状況について取りまとめ公表する。

なお、今回の閣議決定前には、経団連側が「個人情報の利用制限の見直し」として、「収集した個人情報について個人を特定できない状態にした場合には、法の制限対象とはせず、第三者への提供や自由な目的での利用を可能とすべきである」との規制改革要望書を出しています。今回の「個人情報匿名化」の検討は、こうした要望を踏まえたものとみられます。

2012年度経団連規制改革要望―7.情報・通信、放送分野(日本経済団体連合会2012/9/18)
ビッグデータのビジネス活用に関する規制改革要望について(富士通株式会社2012/11/26)―経済活性化ワーキンググループ(第4回)資料3-2

 


《注意報2》 2012/11/30

消費者庁の関係者によると、小平内閣府特命大臣(消費者担当)は、今日の閣議後の定例会見で、日経新聞の「個人情報の売買解禁」の記事について「誤報」と指摘したとのことです。この記事では、次のように、早ければ来年の臨時国会に個人情報保護法改正案を提出すると報じましたが、同大臣は関係省庁はガイドライン等に示すにとどまり、個人情報保護法の改正をすることは考えていない旨の発言があったとのことです。

個人の間では情報流出への不安も強いとみられ、政府は2013年秋をメドに個人情報をどこまで隠せば「匿名化」とみなせるかを明確にしたルールをつくる方針だ。早ければ13年の臨時国会に個人情報保護法改正案を提出する。

(日本経済新聞2012年11月29日付朝刊「個人情報の売買解禁 新事業創出を後押し」より一部抜粋)

小平内閣府特命担当大臣記者会見要旨(2012年11月30日)(消費者庁)

問 …先日、一部報道で、個人情報保護法案を改正して、個人情報を匿名化して売買できるという、そういうルールづくりを政府がするんだという話があるようですけれども、これについての大臣のお考えは。何か来年の臨時国会にも法案改正の提出というような感じで、御見解と御判断、教えてください。

答 その報道は一部昨日出たようでありますね。今朝、日本再生加速プログラムが閣議決定しましたが、この今おっしゃった個人情報の売買解禁、それは誤報であります、この報道はね。もう一つ、法改正ですね。これは今のところまだ決まっておりません。そこまで話はいっておりません。

問 検討していることはあるけれども、法改正という動きまではないという。

答 必要に応じて関係省庁はガイドライン等に示す、そうした内容ですね。今の段階で、個人情報保護法の改正が求められているとは、認めていないということです。

(*) 小平消費者担当相の会見要旨を追加掲載しました。(2012/12/7 12:40)